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現像パラメータの調整は、パラメータ・コントロールやサブコントロール上のGUIで行えます。 SILKYPIX®では現像パラメータの調整を、露出補正、ホワイトバランス、調子、カラー、シャープ・ノイズリダクションの順で進めていただくことをお勧めしています。 この調整の順番に沿って調整がしやすい様、パラメータ・コントロールには各調整項目のGUIが上から順番に配置されています。 パラメータ・コントロールを用いることでお勧めの流れに沿った調整が進められます。 4.1. パラメータ・コントロールとサブコントロール パラメータ・コントロール上部のメイン・コントロール部は各種パラメータを設定するためのGUIが配置されています。 上から順に以下のGUIが配置されています。
ドロップダウンリストは、弊社であらかじめ用意したもしくはお客様が任意に登録したテイスト(=プリセット値)から現像パラメータを選択していただく形式のGUIです。 "SILKYPIX® Developer Studio Pro 6" では、現像パラメータのプリセット値を"テイスト"と呼びます。テイストについては4.1.1で詳しく記述します。 ドロップダウンリストでテイストを選択した場合、自動的に関連するサブコントロールがタプ・ページに表示されます。ただし、該当するサブコントロールがお客様のカスタマイズによってコントロール・ボックスに配置されている場合や、フローティング・ウィンドウとして表示されている場合は除きます。 4.1.1. テイスト 「テイスト」とは現像パラメータのプリセット値のことです。 4.1.2. テイスト・パラメータ よく使う現像パラメータは「テイスト」として登録しておくことで、簡単に呼び出すことができます。
代表的な現像パラメータの組み合わせは、メーカーテイストとしてSILKYPIXにあらかじめ登録されています。 これらを活用して、簡単に現像パラメータの調整をおこなうことができます。 ドロップダウンリストを開いて、適用する「テイスト」を選択します。 すると、テイストに登録された現像パラメータが反映されます。 テイストには、現像パラメータがまるごと置き換わる「全体テイスト」と、現像パラメータの一部がセットされる「部分テイスト」があります。 「部分テイスト」の適用は、「現像パラメータの部分貼り付け」と等価の動作をします。
よく使う現像パラメータは「テイスト」に登録して簡単に呼び出せるようにしましょう。 4.1.1.1. 全カテゴリ・テイスト テイストへの登録は現像パラメータ全体を対象とした「全カテゴリ・テイスト」と、現像パラメータの各カテゴリ単位で登録するその他のテイストの2種類があります。 登録のしかたについては「4.1.1.3. テイストの登録」を参照してください。 パラメータ・コントロールのメイン・コントロール部の最上部、 アイコンの横に配置されている「全カテゴリ・テイスト」のドロップダウンリストについて説明します。 4.1.1.2. その他のテイスト ここで選択することができるテイストは、現像パラメータの「全カテゴリ」を対象とする全カテゴリ・テイストです。 「全カテゴリ・テイスト」には「全体テイスト」と「部分テイスト」の2つの種類があります。 【表示の説明】
「全体テイスト」を選択した場合は、現像パラメータの全てのカテゴリが置き換わります。
「部分テイスト」を選択した場合は、現像パラメータの一部のカテゴリのみが置き換わります。
ドロップダウンリストを開くと選択可能なテイストの一覧が表示されます。 【選択されたテイストの表示】ここには、登録されているメーカーテイスト(=弊社で用意したテイスト)とユーザーテイスト(=お客様が登録したテイスト)のほかに、以下の項目が表示される場合があります。
テイストのドロップダウンリストが閉じている状態では現在の設定が表示されています。 パラメータ初期値については、「9.5. パラメータ初期値の設定」をご参照ください。登録されているテイストのいずれかが選択されている場合は、選択されているテイストの名称が表示されます。部分テイストの名称はここには表示されません。 それ以外に「初期値」、「マニュアル指定」、「マニュアル(テイスト適用)」と表示される場合があります。
「全カテゴリ・テイスト」を除くその他のテイストのドロップダウンリストについて説明いたします。 4.1.1.3. テイストの登録 これらのテイストのドロップダウンリストは、メイン・コントロールと、各サブコントロールの最上部に配置されています。 メイン・コントロール部に配置された「全カテゴリ・テイスト」を除くドロップダウンリストは、上から順に 「ホワイトバランス・テイスト」 です。 これらのドロップダウンリストは、「ホワイトバランス」、「調子」、「カラー」、「シャープ」、「ノイズリダクション」のサブコントロールがフローティング・ウィンドウとして表示される際に、各サブコントロールの最上部に配置されるドロップダウンリストと共通のものです。「調子・テイスト」 「カラー・テイスト」 「シャープ・ノイズリダクション・テイスト」
これらのドロップダウンリストは、1つのパラメータカテゴリのみを対象とした部分テイストの選択に使用します。 メイン・コントロール部に配置された「全カテゴリ・テイスト」を除くドロップダウンリストからテイストを選択した場合、その影響を受けるのはタブ・ページに表示されているサブコントロールで調整可能な現像パラメータのみとなります。 サブコントロールの最上部に配置されたこれらのドロップダウンリストからテイストを選択した場合、その影響を受けるのは同じサブコントロール(*1)で調整可能な現像パラメータのみとなります。
ドロップダウンリストを開くと選択可能なテイストの一覧が表示されます。 ここには、登録されているメーカーテイスト(=弊社で用意したテイスト)とユーザーテイスト(=お客様が登録したテイスト)のほかに、以下の項目が表示される場合があります。
ドロップダウンリストが閉じている状態では現在の状態が表示されています。 登録されているテイストのいずれかが選択されている場合は、選択されているテイストの名称が表示されます。 それ以外に、以下の項目が表示される場合があります。
現在選択しているコマに適用されている現像パラメータを、テイストとして追加・登録することができます。 4.1.1.4. テイストの編集 テイストの追加・登録には2つの入り口があります。 メニューの[パラメータ(P)]-[テイストの登録]から「テイストのカテゴリ」を選択するか、もしくはドロップダウンリストの右横に配置された アイコンをクリックします。 すると、「テイストの登録」ダイアログが表示されます。 「テイストの登録」ダイアログは、「テイストの編集」ダイアログと同じ形状のダイアログです。 ダイアログの操作方法については、次の「4.1.1.4. テイストの編集」を参照してください。 「テイストの登録」によって追加された「テイスト」が選択された状態でダイアログが表示されますので、テイストの名称などを適切に設定して、[OK]ボタンで確定させてください。 「テイストの登録」ダイアログで設定すべき項目
登録時には「ユーザーテイスト 1」のような連番が付加された名称が設定されます。 他のテイストと識別しやすいような適切な名称に変更してください。
「テイストのカテゴリ」が「全カテゴリ」以外のテイストとして追加される場合には、「適用する現像パラメータのカテゴリ」は1つのカテゴリに固定されていますので編集する必要はありません。 「テイストのカテゴリ」が「全カテゴリ」の場合は、「適用する現像パラメータのカテゴリ」でどのカテゴリを有効にするか設定することができます。 有効に設定されたカテゴリがテイストのマスクとして設定されます。 登録されているテイストの編集をおこなうことができます。 テイストの名称を変更したり、表示順序を変更したりすることにより、テイストの選択がしやすいようにカスタマイズすることができます。 また、エクスポート、インポートの機能により、テイストを保存・復元することや、他のPCにテイストを移行することができます。 「テイストの編集」は、メニューの[パラメータ(P)]-[テイストの編集]-[パラメータ系テイストの編集]からおこないます。
リストの左の記号 テイストのカテゴリが全カテゴリの場合で適用する現像パラメータの全てを選択している場合 (全体テイスト) テイストには弊社であらかじめ用意したメーカーテイストと、お客様が作成したユーザーテイストの2つの種類があります。テイストのカテゴリが全カテゴリの場合で適用する現像パラメータの一部を選択している場合 (部分テイスト) メーカーテイスト 赤い背景で表示されます。 削除、エクスポート、移動をすることはできません。 ユーザーテイスト緑の背景で表示されます。
テイストの登録の場合もこのダイアログが表示されます。編集中のファイルの種類、ボタンを押した場所のテイストの種類が選択された状態で、編集可能なテイストに追加された状態で表示されます。テイストの名前を変更、表示位置を決定して OK ボタンを押すとテイストの登録が完了します。 「テイスト・パラメータ」サブコントロールではテイストの登録と編集、現像パラメータの保存、読み込み、初期化、一時登録をおこなうことができます。 4.1.3. コントロール・ボックス 4.1.2.1. 一時登録 「一時登録」は現像パラメータを一時的に記録する機能です。 4.1.2.2. ホットフォルダ 現像パラメータを記録しておくことができる部屋は4つあり(ROOM1~4)、もう1つ"Latest"と記された特別な部屋があります。 最初の4つの部屋は、任意の現像パラメータを記録することができます。 左側の○ボタンをクリックすることで、現在選択されているコマの現像パラメータが部屋に記録されます。 部屋に現像パラメータが記録されると、記録された時刻が表示されます。 現像パラメータが記録されている部屋はボタンになっており、このボタンをクリックすると、現在選択されているコマに部屋に記録されていた現像パラメータを貼り付けます。 こうして、他のコマの現像パラメータや、同じコマの過去の現像パラメータなどをコピーすることができます。 現在選択されているコマの現像パラメータと一致する現像パラメータが記録されている部屋は強調表示されます。 右側の アイコンは、「連続コピーモード」に入るためのボタンです。 「連続コピーモード」とは、部屋に記録された現像パラメータを複数のコマに貼り付けていくモードで、サムネイル表示上で現像パラメータを貼り付けたいコマの上でクリックしていきます。 このモードから抜けるためには、再度 アイコンをクリックしてください。 一番下に配置された特別な部屋"Latest"は、常に最後に編集された現像パラメータが格納されています。 現像パラメータを調整した最終結果を、他のコマに貼り付けたい場合に活用してください。 「一時登録」にはいくつかの便利な活用方法があります。 詳しくは、「6.5. 一時登録機能の活用」をご参照ください。 「ホットフォルダ」は、選択されたフォルダを監視し、処理対象コマが追加された場合にサムネイルに自動でコマを追加する機能です。 この機能は、単一のフォルダを選択した場合のみ使用することができます。 「ホットフォルダ」枠内の“未登録”と書かれたボタンをクリックする事で、選択されているコマの現像パラメータが登録され、“有効”のチェックボックスにチェックが付きます。 “有効”にチェックが付いている間、登録された現像パラメータが適用された状態でコマが自動追加されます。 “有効”のチェックは選択フォルダを変更すると自動でチェックが外れます。 コントロール・ボックスには、複数のサブコントロールを配置できます。 メイン・コントロールにあるパラメータカテゴリのサブコントロールは、タブ・ページとしてコントロール・ボックスの上に配置されます。 フローティング・ウィンドウになっているサブコントロールで、タイトル・バーのメニューから"コントロール・ボックスに配置する"を選択した場合、コントロール・ボックスに追加されます。 追加されたサブコントロールは、パラメータ・コントロールのアイコンやメニューから選択されると、コントロール・ボックスがスクロールされ、選択されたサブコントロールが表示されます。 4.2. サブコントロール 「サブコントロール」とは、現像パラメータの各カテゴリに用意された、パラメータ調整のためのコントロール・ウィンドウです。 機能別に (A) ~ (F) 、初期配置別に、(1) ~ (4) とタイプを分類できます。 【サブコントロールの一覧】
【サブコントロールの分類】
【サブコントロール初期配置の分類】
4.3. 露出補正 露出補正は、現像時の現像ゲインを決定します。これは、フィルムでは増減感現像に相当する処理で、カメラで露出補正をしたのとほぼ同様の結果となります。 調整は、露出補正スライダーより調整値を選択することでおこなえます。 現像時に露出補正が可能なため、露出補正を前提とした撮影も可能です。詳しくは、「10.1.2. カメラでの露出補正と、現像時の露出補正の違いと応用」をご参照ください。 4.3.1. 自動露出補正 自動露出補正ボタンを押すことで、自動露出補正がおこなえます。 4.3.2. 露出補正の微調整 SILKYPIX® の自動露出補正のアルゴリズムは、被写体を認識して含まれる色を細かく分析し、白とびや色とびを抑えつつ、表示デバイスや印刷デバイスの色再現能力を使い切れるよう、弊社の画像処理技術の粋を集めた高度な画像処理を施しています。 本機能により現像パラメータ調整の時間を短縮し、また、RAWならではのアンダー露出での撮影時などにも威力を発揮します。 露出の上限、下限の値についているスピンボタンで露出微調整をおこなうことができます。これは、露出補正スライダーではおこないにくい細かな露出調整をおこなうものです。 4.3.3. 露出補正ツール 露出補正で大まかな調整をおこない、この露出微調整で微調整の追い込みをかけると便利です。 指定した点や領域の明るさを一定の明るさに調整するツールです。 4.3.4. 覆い焼き・焼き込み/HDR メニューの[操作モード(M)]-[露出補正ツール]、もしくはツール・バーの アイコンから露出補正ツール・モードに入ります。 選択されたコマに対して、プレビュー画像上またはサムネイル上で、クリックもしくはドラッグにより領域を指定すると、その領域が設定された輝度レベルになるように露出補正が調整されます。 ここで使用される輝度レベルは、RAWデータ上での感光レベルです。輝度レベルは「機能設定」にて設定できます。詳しくは「9.3.1.2. 露出補正ツールの設定」をご参照ください。 また、この機能は、無彩色の点でなくても指定可能です。その場合、R, G, B のうちの最も大きな値が指定した輝度レベルになるように調整されます。 例えば、赤い部分をクリックした場合には、R が指定した輝度レベルになるような露出補正値が計算されて露出補正がおこなわれます。 ※スポイト操作に関する設定は「9.3.2. 操作」をご覧ください。 覆い焼き・焼き込みとHDRの調整ができます。 ドロップダウンリストで調整項目を選択し、スライダーで適用量を調整します。 ドロップダウンリストで選択中の調整項目のみが適用され、複数の調整項目を同時に使用することはできません。 4.3.4.1. 覆い焼き・焼き込み 覆い焼きとは、銀塩写真の焼き付け工程で暗い部分を覆って印画紙への露光量を減らすことで、部分的に明るく調整する手法です。 4.3.4.2. HDR 一方、焼き込みとは、銀塩写真の焼き付け工程で明るい部分に対して印画紙への露光量を増やすことで、部分的に暗く調整する手法です。 輝度差の激しい被写体の場合、暗い部分に合わせて露出補正をおこなうと、明るい部分が明るくなりすぎて飛んでしまいます。 このような場合、覆い焼き・焼き込み手法を使い画像の領域ごとに露出補正の量を適切に調整することで、より階調性の高い写真に仕上げることができます。 本ソフトウェアに搭載している覆い焼き・焼き込みは、画像を解析して露光量が足りない部分と充分な部分を自動的に識別し、人間の視覚に近い状態になるように部分的に露出補正を施します。 明るすぎる領域は露出が押さえられ、暗い領域は露出が増やされて中間的な明るさに近づく方向に領域ごとに調整されます。 ダイナミックレンジが狭められて明るい部分も暗い部分も見えやすくなりますので、白とびや黒つぶれの領域が存在する輝度差の激しい被写体の画像に効果的ですが、反面、コントラストは低下して軟調な仕上がりとなります。 覆い焼き・焼き込み調整の適用量は調整できますので、最も効果が得られるように調整してご使用ください。 また、覆い焼き・焼き込みの調整として以下の項目を選択できます。
※ SILKYPIX® Developer Studio Pro 5 以前の「覆い焼き」調整項目は、SILKYPIX® Developer Studio Pro 6 では「覆い焼き・焼き込み」として扱われます。 HDRとは、ハイダイナミックレンジ (High Dynamic Range imaging) の略で、人間の記憶に近い状態で写真表現する手法です。 写真は明るいところと暗いところを同時に表現することはできず、明るい部分に露出を合わせると暗い部分は黒くつぶれてしまい、暗い部分に露出を合わせると明るい部分は白トビしてしまいます。しかしながら人間の目はそれぞれの明度を調節し続けながら映像として認識するので、例えば輝度差が大きい風景を眺めた場合でも、適切な明るさで、黒つぶれも白トビもしない状態で記憶されます。 HDRは、すなわち通常の写真技法に比べて幅広いダイナミックレンジで表現するための写真技法となります。 従来HDR手法の多くは、露出の異なる複数の画像を合成し1枚の画像にする方法が用いられていました。本ソフトウェアは画像データが保有する豊富な情報を最大限に活用することで、一枚の画像データからでHDR表現を実現することができます。 HDRの適用量は調整できますので、最も効果が得られるように調整してご使用ください。 また、HDRの調整として以下の項目を選択できます。
4.4. ホワイトバランス ホワイトバランスとは、白く表現する色を調整する機能です。 わたしたち人間の目は、環境光に適応する性質を持っています。太陽光の下でも、電球の下でも、蛍光灯の下でも、白いものを白と知覚することができます。しかし写真では、太陽光の下では白く写る物が、電球の下では赤みがかかり、また蛍光灯の下では緑や青みがかかってしまいます。これを調整するのがホワイトバランス調整です。 ホワイトバランスの調整により、写真は大きく色が変化し、その表情を変えます。白い被写体を白く再現したとき、もっとも色味が豊かで自然な写真に見えます。ホワイトバランスの基本は、白いものを白く表現することなのです。 しかし、撮影されたシーンによっては、白い被写体を白く再現することが必ずしも適切であるとはいえません。 例えば、夕日に照らされている白いものを完全に白く表現してしまうと、夕方であることが分からなくなるでしょう。また、どんよりとした曇り空の下で、憂鬱な気分を演出したいなら、白い被写体を青っぽく表現することは効果的でしょう。 ほとんどのカメラでは、撮影時に自動的にホワイトバランスの調整がおこなわれます。しかし、それは必ずしも正確ではなく、また正確であってもあなたが望む結果ではないかも知れません。 作画意図を反映した写真を撮影するためには、ホワイトバランスをその表現に応じて適切に設定する必要があります。 しかしながら、撮影時に適切なホワイトバランスの設定を割り出すのはとても難しいことです。 RAWで撮影する場合は、撮影時にホワイトバランスの設定に注意を払う必要はありません。 ホワイトバランスの設定は、RAWデータをJPEGやTIFF画像に現像処理する工程で必要なパラメータです。デジタルカメラにホワイトバランスの設定があるのは、カメラ内で現像処理してJPEG/TIFF画像に変換するために必要なのであって、RAWデータに記録保存する場合には必ずしも必要がありません。 実際にRAWで撮影する場合には、設定されたホワイトバランスはサムネイル画像やカメラの背面液晶に表示するためのプレビュー画像の作成に反映されますので、できるだけ適切な値であることが望ましいですが、後から現像処理する工程では、自由にホワイトバランスの変更をおこなうことができます。 RAWで撮影することによって、現像時にホワイトバランスを自由に変更することが可能となり、シーンにあった表現を時間をかけてじっくりと探し出すことができるようになります。 RAWデータで撮影する最大のメリットはここにあると言っても過言ではありません。 4.4.1. テイストからの選択 あらかじめ光源毎に調整されているホワイトバランスやお客様が登録したテイストを選択して調整する方法です。 4.4.2. オート・ホワイトバランスによる調整 ホワイトバランス・ドロップダウンリストから適用するテイストを指定します。 この指定をおこなった後で、更に微調整をおこなうことが可能ですので、最初におおまかに光源を特定したり、お客様の撮影環境に合わせて登録されたテイストを選択したりという使用方法がお奨めです。 ここでは、主なテイストについて説明します。
ホワイトバランスに「Auto(絶対)」または「Auto(自然)」を設定した場合、画像を解析して自動的に適切なホワイトバランスに調整します。 4.4.3. 色温度と色偏差を使ったホワイトバランスの調整 SILKYPIX®のオート・ホワイトバランスはデジタルカメラで採用されている方式と動作原理が根本的に異なり、従来型のオート・ホワイトバランスが苦手とする彩度の高い被写体や、白い部分がない被写体であってもかなり正確にホワイトバランスを検出することができます。 ホワイトバランスには正解はありません。 写真をどう表現したいかによって決まるもので、それは撮影者である「あなた」にしか決定できません。 しかし、たくさんの写真を現像する場合、一枚一枚に最適なホワイトバランスを設定するのは大変な作業です。 オート・ホワイトバランスは、効率よくたくさんの写真のホワイトバランスを決定するための手段として活用することができます。 白いものを白く表現することがホワイトバランスの基本です。 最終的には効果的な演出をおこなうためのホワイトバランスの調整をおこなうとしても、まずは適切にホワイトバランスを調整して白いものを白く表現するところから作業を開始するのが王道です。 オート・ホワイトバランスを使用すれば、ほとんどの写真で適切なホワイトバランスに自動的に調整されますので、たくさんの写真の調整をおこなう場合は最初にオート・ホワイトバランスを活用することは、作業の効率をあげるでしょう。 オート・ホワイトバランスは「Auto(絶対)」と「Auto(自然)」の2種類があります。 「Auto(絶対)」は光源色の色かぶりをできるだけ解消するように自動調整します。 「Auto(自然)」は光源色の雰囲気を知覚的に再現するように自動調整します。光源色による色かぶりを完全に補正せずに、光源の色調を残したい場合に効果的です。 色温度を指定してホワイトバランスを調整する方法です。 4.4.4. グレーバランスツール 「ホワイトバランス」サブコントロールに切り替えると、色温度調整スライダーが表示されます。 このスライダーを動かして、被写体の色味がうまくバランスする点を探します。 被写体が赤または黄色みがかっている場合には、色温度を小さく(低く)する側にスライダーを動かします。 被写体は青みがかっている場合には、色温度を大きく(高く)する側にスライダーを動かします。 色偏差スライダーは、色かぶりを取るために使用します。まず色温度を合わせてから使用してください。 被写体が緑かぶりしている場合には、+側にスライダーを移動します。 被写体がマゼンタかぶりしている場合には、-側にスライダーを移動します。
写真に写ったグレーの被写体をターゲットとして、ホワイトバランスを調整するためのツールです。 4.4.5. 肌色指定ツール 「ホワイトバランス」サブコントロールにある「グレーバランスツール」アイコンをクリックするか、メニューの[操作モード(M)]-[グレーバランスツール]、もしくはツール・バーの アイコンで、グレーバランスツールによるホワイトバランス調整モードに入ります。 この状態で、選択されたコマに対して、プレビュー画像上またはサムネイル上のグレーにしたい部分をクリック、もしくは、ドラッグして範囲を指定すると、その部分をグレーとして再現するようなホワイトバランスが設定されます。 グレーの被写体が写っている写真の場合は、この機能を使うと簡単に適切なホワイトバランスに調整することができます。 また、グレーチャートや白紙などをあらかじめ撮影光源下で撮影しておくことで、この機能を積極的に活用することができます。
写真に写った人の肌を、「綺麗な肌色と期待する色」に調整するためのツールです。 4.4.6. 暗部調整 「ホワイトバランス」サブコントロールにある をクリックするか、もしくはメニューの[操作モード(M)]-[肌色指定ツール]から肌色指定モードに入ります。 肌色指定モードでは、選択されたコマに対して、プレビュー画像上またはサムネイル上で、クリックもしくはドラッグによって肌の領域を指定することで、指定された領域を「綺麗な肌色と期待する色」にするための、ホワイトバランス調整と露出調整をおこないます。 このツールでは、ホワイトバランスの調整と、露出補正の調整を同時におこないます。 肌色の調整は一度の操作では思ったようにいかない場合があります。 そのような場合は、何度か操作を繰り返して、最も適切な調整値を探ってみてください。 例えば、調整した結果、肌色が赤く表現されすぎる場合には、赤すぎると思われる肌色を再度クリックします。 また、調整した結果、肌色が緑や青みがかって表現されすぎる場合には、緑または青みがかっている部分を再度クリックします。 これを何度か繰り返すうちに適度な色の表現がみつかるでしょう。 女性の顔の肌色部分で調整をおこなう場合には、チークなどで赤みがかっている部分を避けて、汚い肌色と思う部分を指定することで望ましい結果が得られやすくなります。
色温度、色偏差が画像全体のホワイトバランスを調整するのに対して、暗部調整は、画像の暗い部分の色かぶりを補正する機能です。 明るい部分では、ホワイトバランスが取れているのに、暗い部分がマゼンタや緑かぶりを起こす画像を補正することができます。この機能により、暗い部分から明るい部分までの色の揺らぎを抑えることができます。 例えば、左の写真は、暗部にマゼンタかぶりが発生している例です。 拡大した部分に注目すると、暗い部分はマゼンタに色付いていることが分かります。暗部調整では、このような暗部だけホワイトバランスがずれる現象を緩和することができます。右図は、暗部調整機能を使用して、暗部のマゼンタかぶりを取り除いた例です。
暗部の色かぶりを補正するのが本機能の主目的ですが、この機能を積極的に使用することで、暗い部分と明るい部分のホワイトバランスを変化させることができます。 左の写真は、撮影時の状態です。 奥に写っている太陽光が当たった部分に合わせて、ホワイトバランスを「快晴」に設定すると、中央の写真になります。ところが、木漏れ日によって、服の色が緑に色づいています。服の色にホワイトバランスすると、こんどは、陽の当たっている部分がマゼンタに色づいてしまいます。つまり、ホワイトバランスだけでは、服と陽の当たっている部分の両方をバランスすることはできません。もちろん、実際には木漏れ日によって服は緑に色づいているので、真ん中がそのときの正常な色を再現しています。しかし、人間は色順応するために、撮影時の印象とは異なってしまっています。このようなケースでは積極的に暗部調整を使って暗部のホワイトバランスを調整することができます。右の写真は、暗部調整により、陽の当たる明るい部分の色はあまり変えずに、服の緑かぶりを取り除いた例です。撮影時の印象にかなり近づきました。
ホワイトバランスを調整する際には、色温度、色偏差により明るい部分のホワイトバランスを先に決めます。次に、暗部の色づきが気になる場合に、暗部調整をおこなってください。
暗部の色かぶりは、なぜ発生するのでしょうか? 原因は、イメージセンサーの漏れ電流と関係があります。 漏れ電流があるために、真っ黒の部分でも RAWデータに記録される値は 0 にはなりません。 SILKYPIX® では、イメージセンサーの漏れ電流に相当する部分を RAWデータから減算して(オプティカルブラック補正)画像を生成します。ところが、イメージセンサーの漏れ電流は、温度が高くなるほど大きくなり、温度が低くなるほど小さくなるという性質があります。ほとんどの場合、カメラ内で温度に関係なく一定のレベルで黒を記録するようになっていますが、調整状態や撮影環境によっては、このレベル(オプティカルブラックレベル)が揺らぐことがあります。イメージセンサーの色ごとの感度差により、オプティカルブラックレベルが大きくなると暗部がマゼンタに色づき、小さくなると緑に色づきます。暗部調整は、このようなケースで暗部の色づきを緩和するための調整機能です。極端な低温下での撮影、高感度撮影、長時間露光などの厳しい条件で暗部のホワイトバランスがずれたのを補正できます。 SILKYPIX® Developer Studio Pro 5 より露出補正の後に暗部調整を反映するようにしましたので、明るい部分に影響を与えることなく補正をかけることができます。 画面内に2つ以上の異なる光源色がある場合、それらを自動で判別しホワイトバランスを調整する機能です。 4.4.8. ホワイトバランス微調整 ミックス光とは、画面内に2つ以上の異なる光源色がある場合の写真を指します。例えば、日中シンクロなど、太陽下でのストロボ撮影は太陽光とストロボのミックス光、建物内観撮影は窓からの外光と室内灯のミックス光の状態になっています。 「ミックス光補正」は色温度や色偏差の調整を行った場合に、一方の光源色が不自然になるのを緩和する機能です。 補正量は調整できますので、必要に応じて調整してご使用ください。 メニューの[表示(V)]-[サブコントロール]-[ホワイトバランス微調整]もしくはサブコントロール・アイコンで、「ホワイトバランス微調整」サブコントロールが表示されます。 4.4.9. 色と調整のまとめ これは、最後にほんの少しだけホワイトバランスを変更したい場合に使用します。 ホワイトバランスターゲット、彩度スライダー 、色相スライダーの3つのコントロールを用いて、より詳細に設定することが可能になります。
ホワイトバランスターゲットとは、正確な色空間からマッピングして作成した指定領域で、 直接マウスでクリックすることで直感的にホワイトバランスの設定をおこなうことができます。 【マウスホイールでの操作】 ホワイトバランスターゲット上にマウスカーソルをのせた状態でマウスホイールを動かすと、彩度スライダーを操作できます。 [Shift]キーを押しながらマウスホイールを動かすと、色相スライダーを操作できます。
ホワイトバランスターゲットの右方向から時計回りの角度を表し、スライダー移動することで詳細に角度を設定することができます。 設定値により次の場所を指定します。
ホワイトバランスターゲットの中心からの半径を表し、スライダー移動することで詳細に半径を設定することができます。設定値の範囲は0.00~1.00で、0.00のときホワイトバランスターゲットの中心、1.00のとき最大半径になります。 ここでは、色をどうしたいとき、どのような設定をすれば良いかという観点で設定例をまとめてご案内します。
4.5. 調子 コントラストやガンマを調整して、画像の軟調、硬調を調整します。 他の補正の調整が終わった上での微調整をおこなう場合は、「トーンカーブ」を使用します。 4.5.1. テイストからの選択 調子・テイストに登録されたテイストを選択します。 4.5.2. 調子の調整 メーカーテイストとして、軟調~硬調までの調子を段階的に用意してあります。 「標準」はSILKYPIXの初期の設定です。「標準」は、sRGBやAdobe RGBの基準トーンカーブよりコントラストが高く、見栄えがよくなるように設定されています。 「忠実」を選択すると、sRGBやAdobe RGBの基準トーンカーブの通りの調子表現となります。 調子の調整は、コントラスト、コントラスト中心、ガンマ、および黒レベルの4つのパラメータでおこないます。
コントラストとは、明るい部分と、暗い部分の対比という意味を持ちます。 コントラストを強くすると、明るい部分がより明るくなり、暗い部分はより暗く表現されることになり、硬調になります。 逆にコントラストを弱くすると、明るい部分と、暗い部分の差が小さくなり、軟調になります。
コントラストを調整するにあたって、どの程度の明るさから上を明るいとみなすか、下を暗いとみなすかのコントラスト調整上の基準の明るさが「コントラスト中心」です。 例えばコントラストを強くすると、「明るい部分」はより明るく「暗い部分」はより暗くなるわけですが、「コントラスト中心」は「明るい部分」と「暗い部分」の中間点であり、コントラストの影響を受けません。 コントラスト中心を小さくすると、印象的には、明るくなったように感じられます。 これは、暗い部分を中心としてコントラストを上げるために、暗くなる部分が狭まり、明るくなる部分が大きくなるためです。 逆に、コントラスト中心を大きくすると、印象的には、暗くなったように感じられます。 一般に、コントラストをつけたい被写体が暗い場合にはコントラスト中心を小さく設定し、逆に明るい場合にはコントラスト中心を大きく設定することで、望ましい調子表現がおこなわれます。 【ヒストグラムの活用】 コントラスト中心は、ヒストグラムの下部に マークで表示されます。 ここには、プレビュー画像上のマウスカーソルの指す点のR,G,B の輝度も表示されます。 この機能を使って、コントラストをつけたい部分の輝度分布を見ながら調整すると、比較的簡単に最適値を見つけることができるでしょう。
ガンマは、一種の明るさの調整です。ガンマを大きくすれば、全体が明るくなり、小さくすれば全体が暗くなります。 明るさの調整という意味では「露出補正」と似ていますが、全く異なるタイプの調整がおこなえます。 「露出補正」は暗部から明部まで一律に明るさを比例調整する機能ですが、ガンマ補正は、最も暗い点と最も明るい点の明るさは変化させずに、その中間の明るさを変化させます。 ガンマを大きくすると、明るい部分が圧縮されて、そのぶん暗い部分が伸ばされて明るくなります。 ガンマを小さくすると、暗い部分が圧縮されて、そのぶん明るい部分が伸ばされて暗くなります。 このため、本ソフトウェアでは、この操作は調子を変える操作と位置づけて調子表現の項目に分類してあります。
黒レベルは、暗い部分を引き締める効果があります。 黒として表現するレベルを指定するもので、このパラメータを大きくすると黒が締まります。 逆光撮影で、全体的に眠い感じになったときや、風景などが空気の乱反射の影響で眠い感じになっている場合に効果を発揮します。
「トーンカーブにグラフを表示する」にチェックを入れることで、ここでの調整状態を、「トーンカーブ」サブコントロールにグラフで表示することができます。 4.5.2.1. 黒レベルツール トーンカーブにグラフを表示した状態で、「調子」のパラメータを調整することで、パラメータの状態を視覚的にグラフで確認することができます。 「トーンカーブ」でさらに微調整をおこなう上でも、「調子」のグラフが表示されていることは参考になります。 指定した点や領域の部分を指定して黒レベルを設定するツールです。 メニューの[操作モード(M)]-[黒レベルツール]、もしくはツール・バーの アイコンから黒レベルツール・モードに入ります。 選択されたコマに対して、プレビュー画像上またはサムネイル上で、クリックもしくはドラッグにより領域を指定すると、その領域が設定された輝度レベルになるように黒レベルが調整されます。 ここで使用される輝度レベルは、RAWデータ上での感光レベルです。輝度レベルは「機能設定」にて設定できます。詳しくは「9.3.1.3. 黒レベルツールの設定」をご参照ください。 「トーンカーブ」は他の補正の調整が終わった上での調子表現の微調整や、効果を与えるための明度変換をおこなうためのツールです。 メニューの[表示(V)]-[サブコントロール]-[トーンカーブ(T)]を選択すると、「トーンカーブ」サブコントロールが表示されます。 サブコントロール・アイコンの「トーンカーブ」ボタンからも表示できます。 「トーンカーブ」の補正は、他の補正処理がおこなわれ、現像設定の出力カラースペースの色空間に変換された後に反映されます。 そのため、例えば、カラーでモノクロを設定した場合にトーンカーブでR、G、B別々に調整を行うとモノクロにならない、現像設定の出力カラースペースを変更した場合は色空間に合わせて再調整が必要になる、等が起こります。ご使用の際はその点を踏まえてご使用ください。 このサブコントロールでは、明度の変換をおこなうカーブ(=トーンカーブ)を設定します。 横軸が入力(元画像の輝度)、縦軸が出力(変換後の輝度)となっています。 ※「トーンカーブ」サブコントロールのウィンドウ枠をドラッグすると、サブコントロールの大きさを調整することができます。 このとき、[Shift]キーを押さえながらドラッグすると、縦横比を固定して、サブコントロールの大きさを調整することができます。 4.5.3.1. テイストの選択 テイストには、メーカーテイストとして調子に効果を与えるものをいくつか用意してあります。 4.5.3.2. 構成点の編集 また、トーンカーブのテイストには、「初期化」、「全て初期化」という特殊な項目があります。 「初期化」は選択されているチャネル(RGBすべて, R, G, B のいずれか)のトーンカーブのみを初期化し、「全て初期化」は4つのトーンカーブの全てを初期化します。 トーンカーブは、構成点を通過するように描かれ、その構成点を操作することでトーンカーブを操作します。 4.5.3.3. コントロールの説明 選択されている構成点の情報は、「入力・出力」コントロールに表示されます。 このコントロールで値を編集するか、もしくはトーンカーブ上の構成点をドラッグして、構成点を移動させることができます。
グラフ上でマウスを左クリックすると、その位置に構成点が追加されます。 または、 をクリックしてトーンカーブの構成点追加モードに切り替え、プレビュー表示から構成点を追加することもできます。
操作対象とする構成点を選択します。 選択されている構成点は で表示されます。 構成点をマウスでクリックすることで、選択の切り替えができます。
選択されている構成点をグラフ上でドラッグするか、「入力・出力」コントロールに表示される構成点の座標値を変更することで構成点を移動させることができます。
削除したい構成点にマウスカーソルを合わせ、右ボタンをクリックすることで、その構成点が削除されます。 また、[Delete]キーを押すことで、選択されている構成点を削除することもできます。
処理の順番は、R、G、Bのそれぞれトーンカーブでおこなった設定を反映した後、 RGBのトーンカーブでおこなった設定が反映されます。
【「構成点追加」機能を使ったトーンカーブでの調整方法】 「構成点追加」機能を使用すると、プレビュー画像の目的の部分を構成点としてトーンカーブを変更できます。以下に追加の例を挙げます。
4.6. カラー カラーの調整は、彩度の調整とカラーのプロファイル、カラーの色表現の選択ができます。 4.6.1. テイストからの選択 カラー・テイストに登録されているテイストをドロップダウンリストから選択します。 4.6.2. 彩度の調整 彩度を強くするほど、色が鮮やかになりますが、もともと鮮やかな色があった場合に、色が飽和してディティールが失われることがあります。 4.6.3. カラーのプロファイル 彩度を調整する場合には、全体的な色の鮮やかさを見ながら調整するとともに、鮮やかな部分の色が飽和してディティールが失われないかも合わせて気を配る必要があります。 カラーのプロファイルとは、色再現の特性を指します。「カラー」サブコントロールにある「プロファイル」ドロップダウンリストから選択することができます。 4.6.4. カラーの色表現 カラーのプロファイルには、「V4互換」、「自然」、「忠実」、「モノクロ」、「JPEG/TIFF」、「DNG」、「フォトスタイル/カメラ色」、「フィルム シミュレーション」があります。
「V4互換」は、SILKYPIX® Developer Studio Pro または SILKYPIX® Developer Studio 4.0 以前のパラメータ情報がある場合に、その色作りを引き継ぐプロファイルとなります。以前のバージョンで調整をおこなった際の色調を維持する場合にご使用ください。
「自然」は、SILKYPIXの標準としている色づくりを行うプロファイルです。
「忠実」は、あっさりとした階調性の高い色表現が特徴です。調子でコントラストを変更した場合も色味を保持します。そのため、彩度を高くすることなくコントラストを強くできる、色を浅くする事無くコントラストを弱めることができる、といった特徴があります。
「モノクロ」は、モノクローム写真を作成する際に使用します。「色表現」でタイプの異なる2種類の色表現を選択することができます。
「JPEG/TIFF」は、画像データがJPEG、TIFFの場合のプロファイルです。
「DNG」は、DNG形式の画像に保存されたカラーのプロファイルを使用します。 DNG形式の画像については、「10.4.4. DNG(Digital Negative)フォーマット対応について」をご参照ください。
「フォトスタイル/カメラ色」はPanasonic社製デジタルカメラの色づくりを再現するプロファイルで、一部の対応するカメラで撮影されたRAWデータの場合に選択可能となります。 「フォトスタイル/カメラ色」を選択すると、「色表現」が「フォトスタイル/カメラ色」専用の内容に切り替わり、設定可能なフォトスタイルまたは、カメラの標準の色づくりを再現する「カメラ色」が選択できます。 「フォトスタイル/カメラ色」に対応しているカメラは「11.対応カメラリスト」をご参照ください。
「フィルム シミュレーション」はFUJIFILM社製デジタルカメラの色づくりを再現するプロファイルで、一部の対応するカメラで撮影されたRAWデータの場合に選択可能となります。 「フィルム シミュレーション」を選択すると、「色表現」が「フィルム シミュレーション」専用の内容に切り替わり、設定可能なフィルムシミュレーションが選択できます。 「フィルム シミュレーション」に対応しているカメラは「11.対応カメラリスト」をご参照ください。
カラーの色表現とは、色再現の方針を決めるもので、「カラー」サブコントロールにある「色表現」ドロップダウンリストから選択することができます。 カラーの色表現には、「標準色」、「記憶色」、「美肌色」、「フィルム調」、「モノクロ」、「フォトスタイル/カメラ色」、「フィルム シミュレーション」のカテゴリがあります。 4.6.4.1. 標準色 SILKYPIX®の標準としている色作りです。このモードは、忠実な色再現を目指しています。 4.6.4.2. 記憶色 多くの場面で違和感のない自然な色再現となります。 かならずしも忠実な色再現だけが、「綺麗な色」の写真を作るとは限りません。 4.6.4.3. 美肌色 私たち人間の記憶の中に残っている色、あるいは、この物体がこうあって欲しい色は、実際とずれていることが分かっています。これらは個人差もありますが、そこには一定の傾向や方向性を見出すことができます。 記憶に残っている色、あるいは、期待している色が写真として再現されたとき、「綺麗な色の写真」に見えるのです。 このモードは、この記憶色や、期待する色の傾向に合わせて色作りをおこなうものです。 色によってその方向性は異なりますが、ごく単純に言えば彩度が高くなる方向にあり、「標準色」モードに比べ、彩度が高めとなります。 このモードは、さまざまな場面で「綺麗な色の写真」を作りますが、高彩度の物体(花など)の場合には、色が飽和しやすくなります。 この場合には、飽和した色を「4.10. ファインカラーコントローラ」で調整するか、彩度のコントロールで彩度を弱めにするか、現像ゲインを低くして調整してください。 記憶色1は、SILKYPIX® Developer Studio Pro 以前のバージョンの「記憶色」と同等の色再現をおこないます。記憶色2は、新しい色再現技術「3次元カラーマッピング方式」を使った、より人間の感覚に近い記憶色を再現するモードです。 この2つは、好みに応じて選択してください。
肌色、すなわちオレンジ系の色は彩度を高く記憶します。このためこのモードにおいても彩度を高く表現しますが、人物の肌に関しては必ずしも彩度が高く表現されることを被写体の人物も、撮影者も好まない場合が多いからです。 人物の肌を綺麗に表現したい場合には、「美肌色」の色表現が適しています。 人物写真の場合、忠実に色を再現するよりも人間が期待する方向で色づくりをおこなった方が、「綺麗な肌色」を作ることができます。 4.6.4.4. フィルム調 このモードは、「日本人の実際の肌色」を「綺麗な肌色と期待する色」に近づけるような色再現をおこないます。 肌と言ってもライティングによっては輝度変化や、受ける光源色の変化、そして肌荒れなどの影響で明度、彩度、色相ともに変化します。 このモードでは、実際の肌色を中心とした色をできるだけ「綺麗な肌色と期待する色」に近づけるとともに、近くの色とのバランスを取る必要性から、肌色から遠く離れた色以外は、全体に彩度を落とし、かつ明度の高い表現となります。 「標準色」モードでは、ホワイトバランスの調整によって「綺麗な肌色と期待する色」に近づけようとすると、肌以外の部分の色バランスが崩れ易くなりますが、このモードでは、肌色近傍の色をできるだけ近い色として再現し、かつ正常なホワイトバランスが得られるように調整してありますので、ポートレイトでご使用になると、自然な背景色と綺麗な肌色の双方を表現しやすくなります。 このモードの開発にあたり、主に参考にしたのは女性の肌色に対する期待色です。 それは、ごく単純に言えば実際よりも赤みがかる方向で、彩度が低く、明度が高いというものです。 この期待色の傾向は、特に女性で強く、男性はむしろやや黄色味をおびた健康的な肌色を好む傾向にあるようです。 このため、自然な肌色表現や、褐色の肌色表現を望む場合や、男性の写真には適さないかも知れません。 このモードから外れる場合には、「標準色」設定をお使いください。 美肌色1は、本ソフトウェアの初期のバージョンの「美肌色」と同等の色再現をおこないます。 美肌色2は、新しい色再現技術「3次元カラーマッピング方式」を使った美肌色を再現するモードです。 美肌色3は、肌色近辺に関しては「美肌色」の再現をおこないつつ、他の色に関しては「記憶色」方向に色がややシフトしている色再現をおこないます。綺麗な肌色と鮮やかな背景、服などを両立させたい場合に便利です。
このモードは、リバーサルフィルムに似た色再現をおこないます。 4.6.4.5. モノクロ フィルムでは、デジタルカメラと違い、光源色や露出により色が大きく変化します。フィルムで良い色を求めると、光源の色も露出の範囲も絞られてきます。 これではデジタルの良さが損なわれてしまいますので、本ソフトウェアでは、ホワイトバランスや露出調整をはじめとする全ての調整機能とフィルム調の色を両立させるべくチューニングをおこなっています。 このため、このフィルム調の色表現を選択するだけで簡単にフィルムライクな色を得ることができます。 ただし、このモードを変えるだけでは、グレー軸の調子は変化しません。好みに合わせて調子も調整してください。 また、彩度を高く表現するフィルム調モード(例えばビビットなフィルム調V)は、ホワイトバランスの調整により大きく色が変化します。 合わせてホワイトバランスの調整をおこない好みの色に追い込んでください。 さらに細かい色の調整をおこなうには「4.10. ファインカラーコントローラ」を参照してください。 プロファイルで「モノクロ」を選択した場合の色表現です。 4.6.4.6. フォトスタイル/カメラ色 モノクロは、RGB各色の平均をとりモノクロ化をおこないます。 モノクロ2は、人間の目の感度特性に近い自然なモノクローム写真を生成します。 場面に応じて、より自分の表現に近いモードを選択してください。 なお、モノクロ化は、最終的なカラー画像を色作りの最終段階でおこなわれます。 したがって、ホワイトバランスや色表現を調整することで、さまざまなモノクロ化をおこなうことができます。 プロファイルで「フォトスタイル/カメラ色」を選択した場合の色表現です。 4.6.4.7. フィルム シミュレーション カメラがフォトスタイル機能を持つ場合、ドロップダウンリストには設定可能なフォトスタイルが表示され、フォトスタイルの色づくりを再現します。 カメラがフォトスタイル機能を持たない場合、ドロップダウンリストには「カメラ色」のみが表示されます。「カメラ色」はカメラの標準の色づくりを再現します。
プロファイルで「フィルム シミュレーション」を選択した場合の色表現です。 カメラがフィルムシミュレーション機能を持つ場合、ドロップダウンリストには設定可能なフィルムシミュレーションが表示され、フィルムシミュレーションの色づくりを再現します。 「撮影時設定」を選択すると撮影時に設定したフィルムシミュレーションの色づくりを再現します。撮影時のフィルムシミュレーションは画像のプロパティの撮影情報で確認できます。
4.7. シャープ・ノイズリダクション シャープとノイズリダクションはそれぞれ独立したサブコントロールを持ちますが、共通のパラメータカテゴリに属する現像パラメータです。 そのためテイストのドロップダウンリストは共有します。テイストはシャープとノイズリダクションの設定を両方とも含んでいますので注意してください。 シャープを強くすると同時にノイズも強調されてしまい、シャープとノイズリダクションは同時にバランスを取って調整する必要があります。 ノイズリダクションは SILKYPIX® Developer Studio Pro 6 では改良され、前のバージョンとは異なる動作となります。 4.7.1. テイストからの選択 シャープ・ノイズリダクション・ドロップダウンリストから登録されているテイストを選択します。 4.7.2. シャープの調整 シャープは、画像の輪郭を強調する機能です。シャープが強い程、解像感が増します。 4.7.3. ノイズリダクションの調整 ただし、あまり強くしすぎると、輪郭が白や黒で縁取られる現象や、反対色で縁取られる現象が現れます。 印刷結果などを参考にしながら、適切な強さを設定してください。 シャープの種類として、「ノーマルシャープ」「ピュアディティール」「アンシャープマスク」の3種類が選択できます。 ノーマルシャープは一般的に用いられているアルゴリズムです。 ピュアディティールはより高い解像感を求めて弊社で開発した独自のアルゴリズムで処理しています。強くかけても精細部をつぶすことがなく、今まで以上に強いシャープをかけることができるようになりました。 アンシャープマスクは弊社で独自に定義した色空間に対して処理をおこなうことで、輪郭部の色付きを抑えながらシャープをかけることができます。 4.7.2.1. ノーマルシャープ/ピュアディティール
全体的なシャープネスの強さを決定します。
細かなエッジ(ディティール)部分の強調度合いを決定します。 このパラメータを強くすると、はっきりとした輪郭をあまり強めることなく、ディティールの解像感を上げることができます。 ただし、ノイズも同時に強調されやすいので、ノイズとのバランスを見ながら調整してください。 ※ディティールの強調具合は、輪郭強調のパラメータとの両方で決まります。輪郭強調を弱めた場合には、ディティールの強調も同時に弱くなるようになっています。まず大まかに(1)輪郭強調のパラメータを設定した後で調整してください。
シャープネスを強めた際に現れる輪郭周辺の黒ぶちや、反対色による輪郭の色づきを抑制する強度を調整します。 ただし、このパラメータを強くすると、色分離が悪くなります。(異なる色の境界で色が抜け、白くなりやすくなります) ですから、色分離とのバランスを見ながら調整してください。
アンシャープマスク処理の適用量を設定します。大きくなるほど、強く処理が施されます。
輪郭強調をおこなうエッジの太さを設定します。 大きくするとエッジが太くなり、小さくすると細くなります。 通常は、0.5~1.0程度に設定するとよいでしょう。
小さくすると、エッジの鮮明さにかかわらず輪郭が強調されます。大きくすると、ある程度以上鮮明なエッジのみが強調されます。 このパラメータは、輪郭強調によりノイズが強調されてしまうことを防ぐ場合に使用します。 通常は、1でお使いいただき、ノイズが強調されすぎていると感じる場合には少しずつ大きくして、解像感とノイズのバランスをとってください。 ノイズとは、高感度撮影時におきるざらざら感のことです。これを本ソフトウェアでは高周波ノイズと呼ぶことにします。 また、高感度撮影時には、ざらざら感の他に赤や緑、青といったノイズも発生し、これを本ソフトウェアでは色ノイズと呼びます。 これらのノイズを除去する機能がノイズリダクションです。 また、これはノイズではありませんが、シャープネス時に発生する輪郭周辺の色づきを緩和するには、黒ぶち色づき抑制を使用します。
4.7.3.1. 偽色抑制 偽色抑制は、偽色を抑える処理の強度を調整します。 4.7.3.2. フリンジ除去 本ソフトウェアでは、細かな構造の部分(高周波部分)に発生する偽色と、ノイズによって発生する色ノイズ偽色の双方を同時に抑えることができます。 高感度撮影時に発生する色ノイズや、細かな構造の部分に発生する偽色が気になる場合に、抑制強度を強めてください。 ただし、この機能にはデメリットもあります。 抑制強度を強めれば強めるほど、色の分離が低下し、色境界で色がぼやけていきます。また、彩度の高い部分の色がその周囲に漏れてくる「色漏れ」という現象を引き起こします。 このため、抑制強度を強めすぎると、かえって画像品質を低下させてしまうことがあります。 フリンジ除去は、フリンジを抑える処理の強度を調整します。 4.7.3.3. ノイズ整列 フリンジとは、高輝度(明るい)部分に隣接する低輝度(暗い)部分のエッジに、本来存在しない紫や緑といった色づきが出る現象を指します。 このような色づきを除去することができます。 高感度撮影時に目立つノイズを整列させて清潔な画像を生成します。 4.7.3.4. ノイズ除去 この機能は、2種類の異なる性質のノイズを低減します。 1つは、横または縦に走る縞状のノイズであるバンディングノイズです。 バンディングノイズが気になる場合には、ノイズ整列を高めながらバンディングノイズが消えるように調整します。 2つ目は、ノイズによって引き起こされる色や輝度の荒れです。 色や輝度の荒れが気になる場合には、ノイズ整列を高めた上で、さらに偽色抑制を高めてください。
高周波ノイズ抑制するには、「ノイズリダクション」サブコントロールにあるノイズ除去スライダーを使います。これは RAWデータのレベルでノイズを抑制する機能です。 4.7.3.5. モアレ軽減 なお、パラメータが初期値の場合、「偽色抑制」および「ノイズ除去」の初期値はカメラの機種、ISO感度等により変化します。 詳細は、「4.17.2. ダイナミックデフォルト」をご覧ください。 画像に発生するモアレを軽減します。モアレとは、本来存在しない模様のことです。 日常生活でモアレを見る場面としては、ニュース番組などで、アナウンサーが細かいチェックや、ストライプ模様のシャツを着ているとき、本来は存在しない模様のようなものが見えることがあります。 これがモアレです。記憶にある方も多いのではないかと思います。 デジタルスチルカメラでの撮影においても、モアレが発生することがあります。 モアレは、細かい周期的な柄をピントぴったりで撮影すると起きやすくなります。 また、光学ローパスフィルタがないカメラの場合も発生しやすくなります。 モアレは、カメラ(センサー)、画像処理、出力デバイス(モニタ、プリンタ等)のすべてで発生します。 本機能は、画像処理部分で発生するモアレを軽減します。 また、本機能は画像中の輪郭に影響を与えます(専門的には、高周波応答が変化します)。輪郭が滑らかになり、逆に解像感はやや低下する場合があります。
4.8. 現像設定 4.8.1. デモザイク精鋭度の調整 「現像設定」サブコントロールにあるデモザイク精鋭度は、現像時のピクセル分解の精緻さを決めます。 4.8.2. 解像度プラス なお、パラメータが初期値の場合、「デモザイク精鋭度」の初期値はカメラの機種、ISO感度等により変化します。 詳細は、「4.17.2. ダイナミックデフォルト」をご覧ください。 ※ JPEG/TIFF画像選択時は使用できません。 通常は、「80」程度にしておきます。 ノイズの多い画像では低めに設定します。「10.1.4. デモザイク精鋭度と画質の関係」をご参照ください。 プレビューを高速化する目的で一時的に変更する使用法もあります。詳しくは、「10.1.1. プレビュー更新の高速化」をご参照ください。 解像度プラスは、FUJIFILM FinePix S3/S5 Pro で WIDE モードで撮影された RAF ファイルを現像する場合にのみ使用可能なパラメータです。 4.8.3. カラースペース FinePix S3/S5 Pro に搭載されている、スーパーCCDハニカムSRIIセンサーは、高感度画素(S画素)の間に、低感度画素(R画素)が配置されています。 弊社では、低感度画素の情報を利用することで、限界解像度を上げることができると考えました。 本ソフトウェアには、低感度画素情報を積極的に解像に生かす現像エンジンを搭載しています。 しかしながら、低感度画素は、高感度画素に比べ約1/16の感度しか持たず、ノイズが多いため解像に生かすと、輪郭周辺のノイズが増える場合や、輪郭のジャギーが目立つ場合もあります。 本機能、解像度プラスは、低感度画素を解像方向に利用する度合いをコントロールします。 0に設定すると、低感度画素の情報は解像には利用されません(この場合でも、階調再現方向には、常に利用され、高ダイナミックレンジ処理がおこなわれます)。 100に設定すると、最大限に解像に利用するようになります。 このパラメータは、デモザイク精鋭度の設定の影響も受けます。 同時にデモザイク精鋭度も調整し、解像と輪郭のジャギーのバランスを取ってください。 ※ JPEG/TIFF画像選択時は使用できません。 4.8.3.1. 入力カラースペース 4.8.4. JPEG/TIFF画像を現像対象とする JPEG/TIFF画像の入力カラースペースを明示的に指定するためのコントロールです。 4.8.3.2. 出力カラースペース SILKYPIX®ではJPEG/TIFF画像の入力カラースペースを、Exif2.3の規格に従って自動判定します。 また、ICCプロファイルが添付されている場合は、ICCプロファイルのカラースペースを採用します。(*1) 入力カラースペースが判定できない場合や、入力カラースペースが指定されていない場合はsRGBとして処理するようになっています。 自動判定ができない場合には初期時にはsRGBの入力カラースペース画像として処理されますが、実際にはsRGB以外のカラースペースで保存されたJPEG/TIFF画像の場合には正しい色再現ができません。そのような場合にはこのコントロールで明示的に入力カラースペースを設定してください。
現像時の調子表現、トーンカーブを施す作業用色空間と、現像後に作成される画像ファイルの色空間を決定します。 カラースペース・ドロップダウンリストから"sRGB", "Adobe RGB"のいずれかを選択してください。 sRGBは、 Windowsの標準的な色空間です。Windowsでは初期値では色空間をsRGBとして扱いますので、通常はsRGBを選択してください。 Adobe RGBは、本ソフトウェアで現像された画像をさらにフォトレタッチソフト等で加工する場合や、印刷を目的としている場合に有効です。 Adobe RGBはsRGBに比べて広い色再現域がありますが、カラープロファイルを正しく扱える画像処理環境がない場合には使用できません。 Adobe RGBで出力されたファイルを他のソフトウェアで読み込む場合には、入力カラースペースをAdobe RGBに指定してください。入力カラースペースの設定方法は、ソフトウェアによって異なりますので、ご使用になるソフトウェアのマニュアルをご参照ください。 また、本ソフトウェアでは、色空間を示すICCプロファイルを出力ファイルに埋め込むことができます。ICCプロファイルを埋め込んでおけば、カラープロファイルに対応しているソフトウェアに色空間を伝達することが可能です。 本ソフトウェアはExif2.3規格に準拠しており、Adobe RGB色空間を示すExif情報を出力することができます。 プロファイルの埋め込みや、Exif情報の出力については、「9.1. 現像結果保存設定」を参照してください。
JPEG/TIFF画像を現像処理の対象にするかどうかの設定を切り替えます。 4.8.5. 現像予約 「JPEG/TIFF画像を現像対象とする」ボタンで、または機能設定の「JPEG/TIFF画像を現像対象とする」チェックボックスで設定することができます。 「JPEG/TIFFを現像対象とする」のチェックをはずした状態(ボタンをOFFにした状態)では、SILKYPIXでJPEG/TIFF画像の編集をおこなうことができなくなります。 このモードでは、現像パラメータの調整をおこなうための各コントロールは無効状態となり、操作することができなくなります。 以下のような場合に活用してください。
必ずRAWで撮影されている方の場合に、誤って同時記録のJPEGを元画像として画像調整してしまうことを防ぐことができます。
このモードによってSILKYPIXで現像処理したJPEG/TIFF画像を選択した場合、現像結果に埋め込まれている現像パラメータを閲覧することができます。 ここで表示される現像パラメータは、その画像が現像処理される際に設定されたものです。 この現像パラメータは、ペーストバッファや一時登録にコピーして、他のJPEG/TIFF画像に適用することができます。 現像パラメータが埋め込まれない設定で記録保存されたJPEG/TIFF画像や、SILKYPIX以外で記録保存されたJPEG/TIFF画像の場合には、現像パラメータは表示されません。 選択したコマに現像予約を設定します。 現像予約を設定すると、メニューの[現像(D)]-[現像予約コマのバッチ現像(V)]から複数のコマを一括で現像することができます。「3.4.1. 予約・マーク」の現像予約と同じものです。 4.8.6. 1コマ現像 4.9. ハイライトコントローラ ハイライトコントローラは、ハイライト領域の色づくりをコントロールする機能です。 メニューから[表示(V)]-[サブコントロール]-[ハイライトコントローラ]を選択してください。「ハイライトコントローラ」サブコントロールが表示されます。左下にあるサブコントロール・アイコンのハイライトコントローラボタンでも表示できます。 「ハイライト領域」とは、RGB のいずれかの要素が飽和している領域を指しています。オーバー露出で撮影された場合に多く発生しますが、適正露出で撮影された場合でも、極めて彩度の高い被写体が写っている場合や、発光体/反射体などが写っている場合に発生します。 これらの「ハイライト領域」は色情報が正しくは記録されていませんので、これらの領域の色再現はSILKYPIX現像エンジンが予測しておこないます。 「色彩重視/輝度重視」と「彩度重視/色相重視」の2つのパラメータは、「ハイライト領域」の色再現の方針を指示するものです。 「明部補償」は、「ハイライト領域」の明度を復元する機能です。 真っ白に飛んでしまった領域に階調を復元させることができます。 4.9.1. 色彩重視/輝度重視 色彩重視/輝度重視はハイライト部分の色作りを、色彩と輝度とのどちらを優先して仕上げるかを制御する機能です。 4.9.2. 彩度重視/色相重視 次の例は、花に強い光が当たってハイライト部分が存在するRAWデータで、「色彩重視/輝度重視」パラメータを色彩を優先、輝度を優先、またはその中間に設定し現像した結果です。 下図「色彩優先」のように花の色彩をより強調したい場合には色彩を優先した設定をおこない、逆に、下図「輝度優先」のように当たっている光の眩しさを表現したい場合には輝度を優先した設定をおこなうといったハイライト部分の制御が可能となります。
もう一例紹介します。 ハイライトコントローラは明るい部分への色をコントロールできるため、夕焼けシーンなどで威力を発揮します。 次の例は、夕焼け空を、色彩を優先、輝度を優先、その中間に設定し現像したものです。
「彩度重視/色相重視」パラメータは、「色彩重視/輝度重視」パラメータで「色彩」を重視した場合に、さらにその「色彩」を「彩度」と「色相」のどちらを重視して仕上げるかを制御するパラメータです。 4.9.3. 明部補償 次の例ように、オレンジ色の花は R 値(赤色)が飽和することでハイライト部分の色相が黄色っぽくなってしまうことがあります。 この場合、「彩度重視/色相重視」にて「色相」を重視した設定をおこなうことにより、色相が回転してしまうのを防ぐことが可能となります。 また、このような「色相」を重視した処理は、人肌のハイライト部分で肌色が黄色く色づいてしまう場合にも効果的です。
逆に、「彩度」を重視させる設定が有利な場合もあります。 下のハチとコスモスの例では、「色相」よりも「彩度」を重視することで、ピンク色と黄色を上手に再現しています。
撮影時に白とびさせてしまった部分を復元する機能です。 4.9.4. ダイナミックレンジ RAWデータには、画像として白とびしている部分であっても、階調の情報が記録されている場合があります。 この場合、現像時にアンダーに露出補正することで、RAWデータに記録されている階調を復元することができます。 しかし、センサーが飽和してしまった部分に関してはアンダーに現像しても復元することはできません。明部補償は、このようなセンサーが飽和してしまった部分の明度情報をより感度の低いセンサーの情報を用いて復元する機能です。 次の例は木や地面に露出を合わせて撮影したRAWデータを露出補正せずに現像したものです。 真ん中は露出補正を-2.0EVに設定して現像したものです。空と雲の階調が復元され、レンズフレアも確認できます。さらに一番右では明度補償を使って、明部の復元をおこないました。 この処理により、空と雲とがより詳細に復元されました。
さらに下図は、上の左の画像に右の画像の空と雲の部分を合成して作成した画像です。 復元された空と雲、そして木と地面の両方に露出が合ったRAWデータからの現像による階調性をフルに生かしたサンプルと言えます。 露出補正値と、明部補償を変えて2種類の現像結果を作成して、フォトレタッチソフトなどで合成することでこのようなダイナミックレンジの広い被写体をも写真として表現可能です。まさに、RAWデータの威力と言えるでしょう。
上記の例は、露出補正量の異なる現像結果2枚をフォトレタッチソフトにより合成した例ですが、本ソフトウェアの覆い焼き調整をご使用になることで、合成という手間をかけることなく、このような輝度差の大きな写真に部分的に露出補正をかけることでダイナミックレンジを圧縮して表現することが可能です。 詳しくは、「4.3.4. 覆い焼き・焼き込み/HDR」をご参照ください。 明るい部分の階調を圧縮してハイライト表現をおこなうための機能です。 4.9.4.1. ダイナミックレンジを有効に活用するための撮影方法 このパラメータの調整で影響を受けるのは画像の中のハイライト領域のみです。 中庸な明るさ以下の領域は影響されません。 より広いレンジのRAWデータをハイライト部に圧縮して格納しますので、ハイライト部の階調を滑らかにしたり、ハイライト部のディテールを強調したりする効果があります。 反面、ハイライト部は軟調になります。 この機能は、撮影段階でハイライト部が飛んでいる場合には有効に活用することができません。 この機能を積極的に活用するためには、撮影時にハイライト部分を飛ばさない工夫が必要です。 「ダイナミックレンジ」を単独で調整する場合、基本的にはハイライト部に余裕な情報が残っている必要があります。 どのくらい余裕な情報が残っているかが、どのくらい効果的に機能するかを決めます。ハイライト部にまったく余裕がない状態で「ダイナミックレンジ」を調整しても効果はありません。 ハイライト部に1.0EV以上の余裕がある状態で、「ダイナミックレンジ」を1.0EVに設定すると、それまで真っ白に表現していた値より1.0EV明るい値が真っ白として表現されるようにハイライト部が圧縮されます。 ダイナミックレンジを有効に活用するためには、撮影時にハイライト部を飛ばさない必要があります。 そして、ハイライト部にできるだけ多くの余裕を持った撮影をすることが望まれます。 ハイライト部を飛ばさずに、かつ、できるだけ多くの余裕を持った撮影をおこなう方法は、ご使用のデジタルカメラの機能にも依存します。 一般に露出をアンダー目に撮影することで、ハイライト部を飛ばさない撮影が可能となりますが、ご使用のデジタルカメラによっては適正露出で撮影してもハイライト部が飛びにくい場合があります。 ダイナミックレンジの広いデジタルカメラを使用すると有利です。 ただし、どんなにダイナミックレンジの広いデジタルカメラで撮影しても、ハイライト部が飛んでしまっては意味がありません。 ハイライト部を飛ばさないことが最も重要な撮影条件です。 ご使用のデジタルカメラの特性を踏まえて効果的な撮影方法を考えてください。 どのくらいアンダーに撮影すれば効果的かはご使用の機種とそのモード、そして撮影環境と作画意図により異なってきます。過度にアンダーに撮影することはノイズを増やすことにつながりますので注意が必要です。 例として、RAWデータが12bit階調で記録されるデジタル一眼レフの場合での撮影と現像処理について説明します。 ハイライト部の表現に注目する場合の手法ですので、一般に被写体は十分に明るく、ISO感度は最低感度で撮影可能な場合が多いでしょう。 このような撮影条件で、白とびが懸念される被写体の場合は思い切って1.0EV~2.0EVアンダーに撮影します。ISO感度などはそのままに、カメラの露出補正機能で-1.0~-2.0EVに設定して撮影していただくことになります。 カメラの露出補正で-1.0EVに補正して撮影した場合、シャッター速度は2倍となり、露出時間は半分となります。 この写真をそのまま現像処理すると、1.0EVアンダーな暗い写真に仕上がりますので、SILKYPIXの露出パラメータを+1.0EVにして増感現像します。 この状態では、適正露出で撮影して、増感せずに現像処理した場合とほとんど変わりません。 増感現像はノイズが強調されるというデメリットがありますが、デジタル一眼レフの場合は+1.0~+2.0EV程度までの増感現像であれば、ノイズの増加はほとんどわからないでしょう(*1)。 この状態は、現像結果として画像に映し出されている情報よりも明るい情報が1.0EV余っていることになります。 このハイライト部にできた余裕を活用してハイライト表現をおこなうことができるようになります。 1.0EVアンダーに撮影した場合には、ダイナミックレンジ・パラメータは0.0~1.0EVまで効果的に機能します。 2.0EVアンダーに撮影すれば0.0~2.0EVと調整範囲は広がります。
4.10. ファインカラーコントローラ ファインカラーコントローラは、色を自由に操ることができる強力な色調整機能です。 メニューから、[表示(V)]-[サブコントロール]-[ファインカラーコントローラ]を選択すると、「ファインカラーコントローラ」サブコントロールが表示されます。 パラメータ・コントロールの下部にあるサブコントロール・アイコンのファインカラーコントローラ・アイコンからも表示できます。 ファインカラーコントローラは色を8つの色相に分けて、それぞれの色相ごとに色を調整する機能を提供します。 コントロール上に表示されているカラーサークルの色相表示は色度図を白点中心に配置したもので、色は時計の3時の位置から時計回りに以下のように配置されています。
このカラーサークルの色配置は、カラーサークルの中心から遠くなるほど彩度が高くなるように、かつ、人間の感覚に対してできるだけ均等に色を配置した均等色空間となっています。
ファインカラーコントローラでのパラメータの調整方法は、大きく分けて2つの方法があります。 カラーサークル上をマウスで操作する方法と、スライダー・コントロールを使ってそれぞれのパラメータ値を設定する方法です。 上手に併用して効率よくパラメータの調整をおこなってください。 4.10.1. カラーサークルを使った調整方法 先に示したカラーサークルの図でわかるように、カラーサークルは8つの色相のブロックに分割されており、それぞれのブロックの中に1つずつの操作点があります。 4.10.2. スライダー・コントロールを使った調整方法 (1)がブロックを示し、(2)は操作点を示しています。 8つのブロックのいずれかをクリックすると、操作対象となる色相が選択されます。 操作対象の色相のブロックは、その境界線が強調表示されます。 各ブロックの中にある操作点は、マウスでドラッグするか、もしくはマウスホイールで移動することができます。 いずれの操作方法でも、円周に沿った方向の移動は「色相」パラメータと連動し、カラーサークルの中心点からの距離は「彩度」パラメータと連動します。 「明度」パラメータの調整はマウスホイールでおこなえますが、カラーサークルでは表現されません。 マウス操作で調整されたパラメータは、スライダー・コントロールにも反映されますので、カラーサークルの表示とスライダー・コントロールの表示は同期したものになります。 【マウスホイールでの操作】 カラーサークル上にマウスカーソルをのせた状態でマウスホイールを動かすと、彩度スライダーを操作できます。 [Shift]キーを押しながらマウスホイールを動かすと、色相スライダーを操作できます。 [Ctrl]キーを押しながらマウスホイールを動かすと、明度スライダーを操作できます。 カラーサークルを使ってマウスで調整する方法と対比して、標準的なコントロールでそれぞれのパラメータ値を調整する方法について説明します。 4.10.3. ファインカラーコントローラの活用方法と注意点
ファインカラーコントローラは色を強調表示したり、逆に控えめにしたり、変色させたりする色の変形ツールです。 色彩工学的には色のバランスを破壊する種類の画像処理ですので、画像の調整としてはできるだけ最後の工程としておこなうことが望ましいです。 自由な発想で、いろいろな用途に使っていただきたいと思いますが、注意点として、ファインカラーコントローラの調整の前にホワイトバランスと露出そしてカラーのプロファイルと色表現を調整しておくことが望ましいです。 ホワイトバランスと露出は基本的な調整項目であり、これらを優先して調整していただくことはファインカラーコントローラに限ったことではありませんが、ファインカラーコントローラの調整を先におこなうと、思うようにホワイトバランスや露出の調整ができなくなる可能性があります。 カラーのプロファイルと色表現については、被写体の強調表示を行いたい場合にはファインカラーコントローラを使用するよりも前に試していただきたい調整項目です。 カラーのプロファイルと色表現はファインカラーコントローラのテイストの一種であると言っても過言ではありません。 独自にファインカラーコントローラで調整していただく前に、まずはもっとも好ましいと思われるカラーのプロファイルと色表現を選択してください。 【調整の例】 青い空と赤い花をバックにして主被写体となる人物がアップで写っている写真を例とします。
4.11. レンズ収差補正 レンズ収差補正は、現像時にレンズの収差を補正することで、より高品位な画像を生成するための機能です。 メニューから、[表示(V)]-[サブコントロール]-[レンズ収差補正]を選択してください。「レンズ収差補正」サブコントロールが表示されます。右下にあるサブコントロール・アイコンの からも表示できます。 カメラのレンズには収差が存在し、デジタルカメラの解像度が向上した今日では、その収差が写真に大きな悪影響を及ぼす場合もあります。 レンズ収差には、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、ディストーション(歪曲収差)、軸上色収差、倍率色収差や、周辺に行くほど光量が低下する周辺光量低下があります。 これらの収差に対し、SILKYPIX®は 「シェーディング(周辺光量)」、「ディストーション」、「倍率色収差」の3つの補正機能を提供します。 「レンズ収差補正」サブコントロールには、上記の3つの補正機能に対応したタブが表示されています。 各パラメータを調整する際は、シェーディング(周辺光量) タブ、ディストーション タブ、倍率色収差 タブをそれぞれ選択します。 4.11.1. シェーディング(周辺光量) シェーディング タブ内にまとめられた「シェーディング」補正は、画像の周辺で絵が暗くなる周辺光量低下というレンズの特性を補正する機能です。3つのパラメータを使用してシェーディング補正をおこないます。 4.11.2. ディストーション 4.11.1.1. 画角(度) 撮影時のレンズの対角線画角を入力します。 この画角から、レンズ設計理論上の周辺光量低下を計算して補正をおこないます。 4.11.1.2. 適用率 レンズは、周辺にいくほど光量が低下する性質を持っています。この周辺光量低下は、画角の大きい広角レンズほど大きく、画角の小さい望遠レンズほど小さくなります。 35mmフィルム換算(フルサイズデジタル一眼)で、50mm の標準レンズの画角は約46度、135mm 望遠レンズでは約18度、35mm 広角レンズでは約63度となります。 ただし、必ずしも実際の撮影時の周辺光量低下とは一致しない場合がありますので、先の数値を参考にスライダーを動かして中心と周辺の明るさがバランスする点を見つけてください。 補正量を適用する割合を入力します。 4.11.1.3. シェーディング中心ツール 0%にするとまったく補正しなくなり、100%にすると画角から算出された理論値が使用されます。パラメータは200%まで指定可能です。 周辺光量の低下も一種のレンズの味ですから、完全に補正せず周辺光量の低下を若干残しておきたい場合や、周辺に明るいものが写っていて補正してしまうと飛んでしまう場合などに、補正の適用量を加減することができて便利です。 また、マイナスの値を設定すると、逆に周辺光量低下を強めることができます。わざと周辺部分を暗くして中心部分を目立たせたい場合や、背景を整理したい場合などに活用してください。 [有効]にチェックが入っている状態で ボタンを押すことで、プレビュー画面上に十字と円のコントロールが表示されます。 4.11.1.4. 周辺光量低下について 円の中心部の十字が交差する位置がシェーディング効果の中心位置を示しており、この部分をドラッグすることでシェーディング(周辺光量)を補正する中心を変更することができます。 これは、写真をトリミングし画角中心がずれた場合でも、効果としてあえて四隅均等に減光効果を得る場合などに役立ちます。 なお、 ボタンを押すことで、シェーディング中心位置をリセットすることができます。 シェーディング効果の中心位置は、画像の中心を(0, 0)とし、トリミング領域設定で拡張した領域の端を基準とした各辺の長さを1とした座標で表現されています。そのため、拡張領域の左上隅が(-0.5, -0.5)、右上隅が(0.5, -0.5)、右下隅が(0.5, 0.5)というようになります。 また、シェーディング中心がプレビュー表示の範囲外にある場合は、コントロールの表示がピンク色に変化し、中心方向を示す矢印が表示されます。 周辺光量の低下は、いくつかの複合要因によって起こります。 4.11.1.5. 色シェーディングの自動補正 像が歪んで結像される場合には、被写体が小さなるように歪められるほど明るくなり、大きくなるように歪められるほど暗くなります。 例えば、魚眼レンズは、周辺にいくほど被写体を小さく歪めることで周辺の光量の低下を防いでいます。 逆に、広角レンズの場合は一般に直線が直線として写るように歪曲収差補正が施されていますが、周辺部を拡大するという方法で補正するために、画像の周辺部は暗くなります。 また、レンズによっては、斜めから見るとレンズの口径が見かけ上減少する場合があり(ビグネッティング)、実際の画角の理論特性よりも周辺でより多くの光量低下を引き起こす場合があります。 絞り値によっても周辺光量の落ち込みが変化します。開放では大きく落ち込み、絞ると落ち込みが少なくなるという現象です。 さらに、デジタルカメラ特有の現象として、イメージセンサーへの光の斜入射によっても周辺光量低下が発生します。 このため、画角はあくまでも参考値です。バランス良く補正される点を探してください。 画角パラメータを小さくすると、補正量も小さくなりかつ中心と周辺の補正がリニアになります。大きくすると補正量が大きくなり、周辺に行くほどさらに補正量が大きくなります。 例えば、画像の中心部はだいたい良く補正されているのに、画像の隅の方だけ暗くなるような場合には、画角パラメータを大きくして周辺での補正がより強くなるように調整します。 一部の対応カメラで撮影されたRAWデータに発生する色シェーディングを自動で補正する機能です。 色シェーディングの自動補正に対応したコマを選択すると、レンズ収差補正サブコントロールのシェーディング(周辺光量)タブ内に ボタンが表示されます。 ボタンをクリックするとコンテキストメニューが表示され、色シェーディングを自動補正するかどうかを選択できます。 色シェーディングとはイメージセンサの中心と周辺で受光角度が原因となり、画像の中心部と周辺部に色の違いや色ムラが生じる現象です。 デジタルカメラには、一般的にイメージセンサの前面に赤外線(IR)や紫外線(UV)をカットするためのフィルターが取り付けられています。 これらIR、UVフィルターは一定の厚さを持つ板状ガラスであり、フィルタへ角度を持って入射した光束が問題となります。 色シェーディングは撮影時の光源状況により異なるため、補正が非常に難しく特に自動補正には高度な画像処理が必要となります。 本機能は、独自の光源検知技術により、撮影した画像から光源色を特定し、それぞれの光源にあわせた補正値を適用させることで、この色シェーディングを良好に自動補正します。
ディストーション タブ内にまとめられた「ディストーション」補正は、まっすぐな線が歪んで曲がる歪曲収差というレンズの特性を補正する機能です。まず、この補正を使う場合には、「有効」と書かれたチェックボックスをチェックしてください。 4.11.3. 倍率色収差 4.11.2.1. 歪曲率 この状態で、右の図にあるように樽型に歪んでいる絵の場合には、スライダーを左に動かして負の値としてください。スライダーを歪みが取れて、曲がって撮影されている本来はまっすぐな線が、直線になるところにパラメータを追い込みます。左の図にあるように糸巻き型に歪んでいる場合には、スライダーを右に動かしてちょうど良いところに追い込みます。スライダーのちょうど中心の 0 の場合には補正はおこなわれません。補正後、「有効」のチェックを入れたり外したりすることで、補正前と補正後を見比べることができます。
4.11.2.2. 中央/周辺重視 歪みの補正を中央部を重視しておこなうか、周辺部を重視しておこなうかを決定します。 4.11.2.3. 自動補正 画像の端にあるまっすぐな線は適切に補正されているのに、画像中心付近は補正が強すぎる場合には、「周辺重視」側にスライダーを調整します。逆に、画像中心付近の補正が弱すぎる場合には、「中央」側にスライダーを調整します。次の例は、レンズの歪曲収差の影響を受けて、柱が曲がっている例が左の図です。この画像に補正をおこない、歪んだ柱をまっすぐにした例が右の図になります。
このパラメータ調整と、歪曲率の調整を交互に繰り返すことで、ほとんどの写真レンズの歪みを目立たないところまで追い込むことができます。 このパラメータを適切に追い込めば、いわゆる陣笠タイプと言われる複雑な歪曲収差特性を持つレンズであっても歪曲収差の補正もしくは緩和が可能です。 カメラにディストーションの自動補正機能があり、カメラの設定でそのディストーションの自動補正をON/OFFでき、かつ SILKYPIX® Developer Studio Pro 6 で対応できる場合、自動補正ボタンが表示されます。この設定により、自動補正を後から変更できます。 ディストーション補正によって、はみ出た領域は自動的にトリミングされ、元の画像サイズと同じサイズになるような拡大がおこなわれます。 トリミング機能の「拡張」機能を使用することで、ディストーション補正によってはみ出た画素を取り出すことができます。「カメラの設定に従う」にした場合、撮影時にカメラ側で設定した値で補正をおこなうかどうかを決めます。 「有効にする」にした場合、撮影時にカメラで設定した値にかかわらず、自動補正を有効にします。 「無効にする」にした場合、撮影時にカメラで設定した値にかかわらず、自動補正を無効にします。 自動補正は、SILKYPIX® Developer Studio Pro 6 の「ディストーション」補正の「有効」のチェックの状態にかかわらず、常に設定した値で補正がおこなわれます。 自動補正と SILKYPIX® Developer Studio Pro 6 の「ディストーション」補正は別々におこなわれます。どちらも有効にした場合、両方の補正が重ねておこなわれることになります。 「4.14.4. トリミング拡張」もあわせてご参照ください。 ディストーション補正機能は、レンズの歪曲収差を補正する目的で開発されましたが、遠近感を誇張したり、逆に歪曲を強めることによって、広角レンズ周辺の放射状に像が流れる現象を緩和したりと、さまざまな使い方が可能です。 おこなわれる補正は、フォトレタッチソフトなどにある単なる変形機能とは異なり、実際の写真レンズの設計を参考に、レンズで発生する収差特性をシミュレートしています。 次の例は、逆に歪曲をより強めるように変形した例です。 補正前の画像(左図)は、歪曲収差によりシャボン玉や人の顔が歪んでいますが、より歪曲を強くゆがめる方向に補正をかけることで、その歪みを見た目として自然な形へ変形させました(右図)
歪曲を自由にコントロールできるレンズを手に入れた気分になって、いろいろなパラメータの組み合わせをお楽しみください。 きっと、新しい表現が見つかることと思います。 倍率色収差補正 タブ内にまとめられた「倍率色収差」補正は、画像周辺のエッジ部分に色づきが現れる倍率色収差というレンズの特性を補正する機能です。 倍率色収差とは、レンズに入射した光の波長によって屈折率が異なるために、RGBの光が結像する倍率にずれが生じることで発生する現象です。 Rの結像倍率と、Bの結像倍率を微小に変化させることで、倍率色収差補正をおこないます。 まず、周辺部分のエッジの色づきが気になる部分を400%以上に拡大表示します。 次に、色収差を見やすくするために、「ノイズリダクション」サブコントロールの「偽色抑制」パラメータの値を小さく(0 ~ 80 程度)していきます。 それから、「倍率色収差」のチェックボックスをチェックして倍率色収差補正を有効にし、R適用率とB適用率の調整に入ります。 補正作業をおこなう際は、下の補正前や補正後の図のように周辺部を拡大表示して結果を確認しながらパラメータを調整してください。 4.11.3.1. R適用率 赤い光の結像倍率を調整します。エッジに赤または、その補色のシアンが強い場合には、まずこのパラメータを調整します。 4.11.3.2. B適用率 青い光の結像倍率を調整します。エッジに青または、その補色のイエローが強い場合には、まずこのパラメータを調整します。 4.11.3.3. 倍率色収差補正ツール 2つのパラメータが両方とも最適になったときに、色づきが最も少なくなります。 まず、エッジの状態を見て、「赤<-->シアン」がエッジの両側の色づきで少なくなるようにR適用率を調整し、次に残留した「青<-->イエロー」の色づきをB適用率で調整します。何度かR,B適用率を繰り返し調整することで、最適なポイントが見つかります。 調整のポイントは、色づきを少なくするという観点ではなく、エッジの色づきを均一にさせるという観点で調整をおこなってください。その後、「ノイズリダクション」サブコントロールの偽色抑制スライダーを上げていくと、残留した色づきが消えていきます。気にならない程度まで上げたら、補正は完了です。 この際、偽色抑制を最大まで上げても消えない色づきが残る場合には、倍率色収差が大きすぎて補正範囲を超えているか、あるいは軸上色収差など、倍率色収差以外の収差によって発生している色づきの可能性があります。背景が飛んでいるような明るさの場合には、コマ収差による色づきの可能性があります。 倍率色収差以外のレンズ収差よる色づきは、今のところ補正できません。
「R適用率」と「B適用率」の2つのパラメータを半自動で最適値に設定するツールです。 プレビュー表示が行われている状態で、 をクリックすると、倍率色収差補正ツールの操作モードに切り替わります。 プレビュー画面上で、倍率色収差が気になるエッジをドラッグして囲んでください。 エッジの色づきが少なくなるようなパラメータが自動計算されて設定されます。 うまく行かない場合には、指定するエッジの場所を変えてお試しください。 なお、エッジの選択に関しては、以下の「補正に適するエッジの選び方について」を参考にしてください。 【400%以上に拡大する理由と、補正に適するエッジの選び方について】 プレビューを400%以上の倍率にすると、簡易的な現像がおこなわれなくなり、プレビュー更新のちらつきがなくなって、見やすくなります。倍率色収差補正では、エッジの色づきを観察しながらパラメータを追い込むため、プレビュー倍率を400%以上にしてください。パラメータ変更に対するプレビューへの反映が遅く使いづらい場合には、さらにプレビュー倍率を上げるか、ウィンドウを小さくしてプレビュー更新される部分のサイズを小さくすると快適に操作できます。 また、補正の際に拡大表示する絵のエッジ部分は、もちろん気になるところを選択するのが望ましいのですが、その中でも以下に挙げるような点に留意して選択してください。
4.12. 回転・デジタルシフト メニューから、[表示(V)]-[サブコントロール]-[回転・デジタルシフト]を選択すると、回転・デジタルシフトダイアログが表示されます。右下にあるサブコントロール・アイコンの アイコンからも表示できます。
4.12.1. 回転 回転機能は、画像を回転させる機能です。 4.12.2. デジタルシフト ±45度の範囲で画像の回転角度を設定できます。時計まわりの方向がプラスです。 回転と同時に、元の画像比率の長方形に自動的にトリミングがおこなわれ、元の画像サイズへ自動的に拡大されます。これにより、回転しても現像後の画素数を一定に保つだけでなく、回転によって解像度が失われるのを防ぐことができます。 この方式により、回転によって失われる解像度の低下が抑えられるため、気軽にお使いになることができます。微妙に斜めに撮影してしまった場合の修正に威力を発揮します。 本ソフトウェアでは、±45度という大きな回転までを許していますが、大きく回転させると、失われる部分が大きくなります。 この場合には、トリミングの「拡張」機能を利用して、回転によって失われるすべての画素を表示して必要な部分を切り取ることができます。 4.12.1.1. 回転ツール 回転ツールは回転角度を指定するのではなく、画像上の水平線または垂直線を指定することによって、視覚的に回転角度を調整するツールです。 表示モードがプレビュー表示モードもしくはコンビネーション表示モードの場合に、「回転・デジタルシフト」サブコントロール上の をクリックするか、もしくはメニューの[操作モード(M)]-[回転ツール]を選択すると、操作モードが回転ツールとなります。 操作モードが"回転ツール"になると、プレビュー表示ウィンドウ上のマウスカーソルの形状が回転ツールとなります。この状態で、プレビュー画像の中の水平もしくは垂直と思われる箇所に左ドラッグで補助線を指定してください。 指定した補助線が水平または垂直となるように自動的に回転角度が設定されます。 デジタルシフトは、シフトレンズで撮影したような変形効果を与る機能です。 この機能により、パースペクティブのコントロールや、建築物の撮影などで上が狭まって写ってしまった写真の補正ができます。 「上下シフト」では、画像の上と下の倍率を変化させることができます。数値を小さくなる方向(左)へ動かすと画像の上の倍率が高くなり、逆に大きくなる方向(右)へ動かすと画像の下の倍率が高くなります。「左右シフト」では、画像の左と右の倍率を変化させることができます。左へ動かすと画像の左の倍率が高くなり、右へ動かすと右の倍率が高くなります。 変形後の画像は、台形もしくは歪んだ四角形となりますが、この中から元の原画比率の長方形で自動的にトリミングされ、元の画像サイズへ自動的に拡大されます。このため、この機能を使用しても現像後の画素数は変化せず、また変形による解像度の低下を抑えることができます。 トリミングによって失われる部分が欲しい場合には、トリミングの「拡張」機能を利用して、デジタルシフトによって失われるすべての画素を表示して必要な部分を切り取ることができます。「4.14.4. トリミング拡張」もあわせてご参照ください。 デジタルシフトは、建築物の撮影だけではなく、幅広い写真で応用が可能です。 次の例のように、人物撮影で顔を小さく、足を長く見せたりすることもできます。デジタルシフトを+6(下:fall)することで、距離差により短く写ってしまった画像(補正前)を、足を長く補正した例(補正後)になります。
この処理によっておこなわれる変形は、単なる矩形→台形変換ではなく、3次元平面→2次元平面投射変換です。これは、実際の3次元世界をカメラで写し撮る場合と同じ変換がおこなわれるため、変換された画像はシフトレンズを使用した場合と同様の効果を持ちます。 手持ちのレンズが全てシフト可能なレンズに変わったという気分で、いろいろなパラメータの組み合わせをお楽しみください。きっと、新しい表現が見つかることと思います。 4.12.2.1. 画角 デジタルシフトの効果を正確に得るには、レンズの画角情報が必要です。 画角パラメータは、編集対象画像の Exif情報から特定して、初期値でほぼ正しい値に設定されます。 ただし、メーカー製のレンズを装着しない場合や、古いレンズを装着した場合には、画角が適切に設定されていないことがあります。 デジタルシフトの結果が横長、もしくは縦長に歪んでいる場合には、「画角」パラメータを調整してみてください。 「画角」パラメータを積極的に使うと、デジタルシフトにおける縦と横の変形比率が変わったような効果を得ることができます。 表現の一部としてお楽しみください。
4.13. 効果 メニューから、[表示(V)]-[サブコントロール]-[効果]を選択すると、効果サブコントロールが表示されます。 右下にあるサブコントロール・アイコンの アイコンからも表示できます。 4.13.1. 美肌処理 肌色に近い部分を自動で検出し滑らかに表現することで、肌の荒れや角質などのディティールを抑えることができます。 肌色とそれ以外の境界線部分においても自然で高画質な処理が可能となっております。 4.13.2. ノイズ付加 4.13.1.1. 美肌効果 肌の荒れや角質などを肌色で置き換える効果の強度を調整します。 美肌効果を上げることにより、濃い色の肌のシミが消えやすくなります。 ただし、効果を強めれば強めるほど、肌や髪の毛がべた塗りされたような質感になってしまいます。 4.13.1.2. 効果範囲 美肌処理の効果範囲を設定します。 美肌範囲を大きくすることにより、美肌効果を調整するだけでは取りきれない、大きなシミを除去することが可能になります。 ただし、効果範囲を大きくすると、細かいシミへの美肌効果が薄くなります。 除去したいシミに合った効果範囲をご利用ください。 4.14. トリミング領域設定 写真に写った画像の一部を切り取った作品をつくる場合に使用します。 トリミング領域の設定は、プレビュー表示の「操作モード」を「トリミング領域設定」に切り替えておこないます。 「トリミング領域設定」の「操作モード」は、「プレビュー表示モード」もしくは「コンビネーション表示モード」のいずれかで、「プレビュー・ウィンドウ」が表示されている状態でのみご使用いただけます。 「操作モード」の切り替えは、メニューから、[操作モード(M)]-[トリミング領域設定]を選択するか、ツール・バーの アイコン、あるいは[Ctrl]+[T]キーにておこないます。 「操作モード」が「トリミング領域設定」に替わると、「トリミング領域設定」サブコントロールが表示され、プレビュー画像上にはトリミング領域を示す枠線と操作のためのハンドルが表示されます。 トリミング領域を設定すると、サムネイルにトリミングマークが表示されます。 トリミング領域の設定をおこなう場合、最初に「領域設定方式」によってトリミング領域を設定する方式を決定してください。 トリミング領域は、自由な矩形で設定することも可能ですが、縦横比を固定することによって、出力する目的に応じたトリミングをおこなうことができます。 トリミング領域の設定は、「プレビュー表示」上に表示されるハンドルをマウス操作で調整していただく方法、「トリミング領域設定」サブコントロールでパラメータを調整していただく方法、そして「トリミングツール」による指定の3つの方法があります。 トリミング領域は、各コマに設定していただけますが、「領域設定方式」はソフトウェアの設定として各コマに共通です。 4.14.1. トリミング領域のハンドルの操作方法 プレビュー画像上に表示されるハンドルをマウス操作することで、トリミング領域の設定がおこなえます。 4.14.2. 「トリミング領域設定」サブコントロールの操作方法
アイコンをクリックするとトリミングツール・モードに切り替わります。 4.14.4. トリミング拡張 トリミングツールは、プレビュー画像上でマウスのドラッグ操作することによってトリミング領域を設定するツールです。 ドラッグの開始点から終了点までの矩形を「領域設定方式」に従ってトリミング領域として設定します。 「領域設定方式」で「自由サイズ」を選択されている場合には、ドラッグの開始点から終了点までの矩形がそのままトリミング領域となります。 それ以外の設定が選択されていている場合には、トリミング領域の縦横比が固定されます。 ドラッグ中のマウスの位置から自動的にトリミング領域の矩形を計算して表示します。 RAWデータには、通常の現像処理で写真として現像処理している領域よりも少し広い領域の情報が記録されている場合があります。 この領域を拡張領域と呼ぶことにします。 また、「回転・デジタルシフト」や、「レンズ収差補正」の「ディストーション」によって生じる余白領域も拡張領域に含まれます。 「トリミング拡張」を有効にすると、この拡張領域まで含めてトリミング領域の設定をおこなうことができるようになります。 拡張領域の広さはデジタルカメラの機種によってさまざまです。 また、機種によっては露光せずに真っ黒に写っている領域や、電子ノイズのような無効な画像が記録されている場合もあります。 パラメータで編集された結果生じる余白領域は、グレーに処理されます。 4.15. スポッティングツール スポッティングツールは、写真に写りこんだゴミなどを消去したり、赤目を補正するためのツールです。 デジタルカメラのイメージセンサーに付着したゴミが写真に写りこんだ場合や、フィルムスキャナーで取り込んだ画像に写りこんだゴミなどを消去したり、ストロボにより赤目になってしまった場合に補正することを主な目的としています。 スポッティングツールを使うには、プレビュー表示が表示されている状態で、メニューの[操作モード(M)]-[スポッティングツール]を選択するか、ツール・バーの から「スポッティングツール」モードに切り替えてください。 「スポッティングツール」モードに切り替わると、「スポッティングツール」サブコントロールが表示されます。 また、プレビュー表示上には「スポッティングツール」の表示領域がナビゲーション表示されます。 4.15.1. ゴミの消去方式 「スポッティングツール」には「自動消去」モードと「コピー」モードの2つのゴミ消去方法が搭載されています。 4.15.2. 赤目補正 「自動消去」モードは、ゴミの領域をクリックすることで、自動的にゴミを消去します。 「コピー」モードでは、指定された領域をゴミの上にコピーすることでゴミを隠します。 また、「消しゴム」モードでゴミ消去の修正を取り消すこともできます。 この2つの方法は併用することができます。 「自動消去」モードで完全に消去できなかった場合や、消去した痕跡が見えるような場合に、「コピー」モードで追加修正することができます。 「消しゴム」も活用することで、より自然に仕上げることもできます。 「赤目補正」モードは、赤目となってしまった黒目部分全体を含む領域をクリックすることで、周囲の色合いから効果的に赤目を補正します。 4.15.3. 操作方法 クリックした領域が、以前にクリックした赤目補正領域と重なっていた場合、以前の補正結果がキャンセルされ、新しい領域に対して補正処理がおこなわれます。 また、「消しゴム」モードで補正を取り消すことができます。 「自動消去」、「コピー」、「消しゴム」、「赤目補正」の4つの操作モードのいずれの場合でも、「スポッティングツール」サブコントロールのプレビュー表示上でマウスの左クリックをすることで、各モードの処理が円カーソル内側の領域に対して施されます。 4.15.4. 注意点 操作モードを切り替えたり、円カーソルのサイズを調整したりしながら、ゴミを消去したり、赤目補正をおこなってください。 【操作モード】
「自動消去」、「コピー」、「消しゴム」、「赤目補正」の4つの操作モードを切り替えながら作業をおこなってください。 4.15.3.2. ツール効果 操作モードの切り替えは、、、、 の4つのアイコンでおこないます。 「自動消去」、「コピー」、「消しゴム」の各ツールの効果は、円カーソルで示される領域対象としておこなわれます。 4.15.3.3. スポッティング領域の強調表示 これらのツールの効果は円カーソルの中心部で強く、周辺部では弱くなっていきますが、効果の強弱を3つの段階から選択することができます。 「ツール効果」を切り替えは、、、 の3つのアイコンでおこないます。 なお、「赤目補正」モードでは、ツール効果の選択はできません。 「スポッティングツール」で画像に修正を加えた領域を強調表示します。 をクリックすることで、強調表示のON/OFFを切り替えます。 4.15.3.4. スポッティング領域の初期化 「自動消去」、「コピー」モードで処理された領域は赤で強調され、「赤目補正」モードで処理された領域は緑で強調されます。 をクリックすると、「スポッティングツール」のパラメータを初期化します。 4.15.3.5. 修正サイズの調整 初期化されるパラメータは、操作モードにより異なります。 「自動消去」、「コピー」モードの場合はゴミ消去パラメータが初期化され、「赤目補正」モードの場合は赤目補正パラメータが初期化されます。 「消しゴム」モードの場合は、ゴミ消去、赤目補正の両方のパラメータが初期化されます。 「自動消去」、「コピー」、「消しゴム」、「赤目補正」いずれの操作モードでも、修正対象領域は丸い円の領域として円カーソルで表示されます。 4.15.3.6. 表示位置・倍率の変更 この円カーソルで囲まれた部分が修正範囲となります。 円カーソルのサイズを調整することで、1回の操作で修正される領域の調整がおこなえます。 円カーソルのサイズは、「サイズ」と表示され、ピクセル単位で指定します。 「コピー」モードの場合には、併せてコピー元の領域を変更することができます。 コピー元とコピー先の関係は、「相対位置」と表示され、ピクセル単位で指定します。 「サイズ」と「相対位置」は3つの方法で設定・変更することができます。
「サイズ」と「相対位置」に表示されている数値を、スピンボタンで調整するか、もしくはエディットボックスを直接編集することで変更することができます。
[サイズ]ボタンもしくは[相対位置]ボタンをクリックするか、もしくは右クリックすると、「サイズ・相対位置設定」モードになります。 「サイズ」は円カーソルの縁をドラッグもしくはマウスホイールで、「相対位置」は円カーソル中央をマウスでドラッグすることで変更できます。
[Ctrl]キーを押した状態でマウスホイールを回すことで、「サイズ」の調整がおこなえます。 また、[Ctrl]キーを押した状態でマウスを移動すると、「コピー」モードの場合は「相対位置」の変更ができます。 この方法に慣れると、すばやく「サイズ」と「相対位置」の変更がおこなえます。 「スポッティングツール」のプレビュー表示は、100%~1600%表示倍率で表示されます。
倍率の変更は表示倍率のスライダー・コントロールで調整します。 表示倍率は100%未満にはできません。 表示位置はスクロールバーで調整します。
選択コマのプレビュー画像が表示されているプレビュー・ウィンドウ上には、「スポッティングツール」の表示領域を示すナビゲーション表示がおこなわれています。 このナビゲーション枠の四隅のハンドルと中央のハンドルを操作することで、表示領域の調整がおこなえます。 また、プレビュー・ウィンドウ上でマウスポインタの位置に「スポッティングツール」の表示領域を移動することができます。 右クリックでコンテキストメニュを表示して、「スポッティングツールの表示位置を移動」を選択してください。
[Alt]キーを押した状態では、「スポッティングツール」のプレビュー画像の表示位置・倍率の変更を「ズームツール」でおこなえます。 「スポッティングツール」を使用する場合は、プレビュー・ウィンドウの表示も工夫することで、効率良く作業を進めることができます。[Alt]キー+ドラッグで、表示位置の移動がおこなえ、[Alt]キー+[Shift]キー+ドラッグで表示の拡縮ができます。 「スポッティングツール」を使用してゴミを消去したり、赤目補正をおこなったデータは、現像パラメータとして保存されます。 このデータ量は「スポッティングツール」での修正量に応じて変化しますが、10KB~1MB以上と他のデータと比較するとかなり大きなデータサイズとなりますことをご留意ください。 「スポッティングツール」での修正データは、「現像パラメータの貼り付け」では適用されません。 「現像パラメータの部分貼り付け」の機能を使って、明示的に「スポッティングツール」のカテゴリを指定してください。 自動的に保存される現像パラメータや、「現像パラメータの保存」で明示的に保存される現像パラメータには「スポッティングツール」のデータは記録保存されますが、JPEG/TIFFのEXIF情報として埋め込まれる現像パラメータには記録保存されません。 4.16. 画像のプロパティ 現在、選択している画像のプロパティを表示します。 メニューから [表示(V)]-[画像のプロパティ] を選択してください。 メインコントロール部の をクリックすることでも表示できます。 「画像のプロパティ」サブコントロールは、画像のプロパティ情報を閲覧するためのコントロールでもありますが、同時に画像のプロパティを編集する機能も備えています。 RAWデータに記録されている撮影情報が間違っている場合に訂正したり、記録されていない情報を追記したりすることができます。 コメントの編集もここでおこないます。 IPTC(International Press Telecommunications Council)に準拠した情報の付加をおこなうこともできます。 特定の情報のみを記録しない設定もできます。 ここで編集した内容は、SILKYPIX®で現像処理した結果のJPEG/TIFF画像に記録されます。
4.16.1. ファイル情報 選択されている画像ファイルのファイル情報が表示されます。 4.16.2. 画像情報 このカテゴリの項目の編集は行えません。 「固有情報」にはファイル・フォーマットに関する情報が表示されます。 SILKYPIX®で未対応のフォーマットの場合や、破損したファイルの場合に情報が表示される場合がありますので、選択されている画像がプレビュー表示されない場合にはこの情報を参考にしてください。 「編集日時」には、SILKYPIXで最後に編集した日時が表示されます。 これは、SILKYPIXが自動的に記録している現像パラメータの編集日時です。現像パラメータの編集がおこなわれていないコマや、現像パラメータの初期化がおこなわれたコマには表示されません。 主にRAWデータやJPEG/TIFF画像のExif情報に記録されている情報で、画像に関する情報や、画像の付帯情報がここに表示されます。 4.16.3. 撮影情報 「コメント」は編集可能な項目です。 主にRAWデータやJPEG/TIFF画像のExif情報に記録されている情報で、撮影時のカメラの設定などの撮影情報がここに表示されます。 4.16.4. GPS情報 「撮影日時」、「ISO感度」、「シャッター速度」、「絞り値」、「焦点距離」、「使用レンズ名」の編集が可能です。 カメラに設定されていた日時が誤っていた場合の訂正や、マニュアルレンズなどを使用した場合などで、撮影情報が正しく記録されていない場合に自由に編集していただくことを想定しています。 現像結果のJPEG/TIFF画像に記録される場合、「使用レンズ名」はXMPに準拠した方式で記録され、その他の情報はExif情報として記録されます。 主にRAWデータやJPEG/TIFF画像のExif情報に記録されている情報で、GPS等による位置情報がここに表示されます。 4.16.5. IPTC情報 各項目は編集が可能です。 IPTC(International Press Telecommunications Council)に準拠した情報の編集が行えます。 RAWデータやJPEG/TIFF画像に、IPTC規格もしくはXMP規格でIPTC情報が記録されている場合にはそれらが初期値として表示されます。 4.16.6. 項目の編集 現像結果のJPEG/TIFF画像に記録される場合、IPTCとXMPの2つの規格に準拠した記録方式で記録します。 画像のプロパティには編集が可能な項目があります。 編集した内容は、現像結果をJPEG/TIFF画像に保存する際の画像の付帯情報に反映されます。 RAWデータに記録されている画像のプロパティを訂正する場合、記録されていない情報を追加する場合、または、現像結果をJPEG/TIFF画像に保存する際の画像の付帯情報として記録しない場合に活用してください。 編集可能な項目には、「情報」の右端に以下のいずれかのアイコンが表示されます。 アイコンの表示されていない項目は編集することはできません。
編集が可能な項目を編集するには、対象項目をマウスオーバーすると項目の左端に表示される をクリックするか、もしくは「情報」のセルをダブルクリックしてください。 項目編集のダイアログが表示されます。 4.16.7. 項目編集ダイアログ 画像のプロパティの項目によって、項目編集ダイアログの内容は多少異なりますが、共通した操作として以下の操作がおこなえます。 4.16.8. 撮影日時
項目の内容を任意に設定します。 項目の種類によって設定方式は多少異なります。 文字列の場合はエディットボックスに文字列を入力します。 ドロップダウンリストから値を選択する形式の項目もあります。 「撮影日時」については特殊ですので、「4.16.8. 撮影日時」を参照してください。
任意の値が設定できる項目の場合は、これまでに設定した編集履歴から項目の内容を選択することができます。 IPTC情報の項目やレンズ名など、同じ内容が繰り返し設定される場合に活用してください。
未編集の状態に戻します。
このチェックボックスがチェックされている項目は、現像結果をJPEG/TIFF画像に保存する際に、画像の付帯情報として記録されません。 初期値が設定されていない項目は、初期状態でチェックされています。 現像結果をJPEG/TIFF画像に保存する際に、画像の付帯情報として記録したくない項目に対して、明示的に設定することが可能です。 「撮影日時」は特殊な扱いをしているので、ここで他の項目とは分けて説明します。 4.16.9. IPTC情報テイスト 「撮影日時」の設定は、主にカメラで記録した撮影日時が誤っていた場合に、「撮影日時」を訂正することを想定しています。 カメラの設定時間が狂っていた場合など、撮影した写真の全ての撮影日時を訂正する場合を考えて、設定した「撮影日時」は時間差で管理します。 ですので、1つのコマで「撮影日時」の編集をしていただき、その内容を他のコマにコピーすることで、一括して「撮影日時」の訂正をおこなうことができます。 スキャナで取り込んだ画像など、「撮影日時」が記録されていない画像が画像処理対象の場合、初期の「撮影日時」としてファイルの更新日時を使用します。 この場合、「画像のプロパティ」の「撮影日時」の項目の末尾に「(更新日時)」と表示されます。 IPTC情報に対してテイストを作成する事ができます。 4.16.10. レンズ名を登録 よく使うIPTC情報は「テイスト」として登録しておくことで、簡単に呼び出すことができます。 テイストの使い方の詳細は 「4.1.1. テイスト」を参照してください。 レンズ名を登録するための機能です。 レンズ名は、サードパーティ製のレンズを使用している場合など使用するカメラやレンズによっては、使用しているレンズとは違うレンズ名が表示される事があります。 その場合に毎回レンズ名を変更する手間を省くために、レンズ名を登録できます。 レンズ項目編集ダイアログで登録したいレンズ名を入力し、「登録」を押すと、以降そのレンズのレンズ名は登録したレンズ名が表示されるようになります。 この機能は、レンズを判別できる情報が画像データから取得できる場合のみ使用できます。 カメラやレンズによってはこの機能は使用できない場合があります。使用できる場合にレンズの項目編集ダイアログの「登録」が有効となります。 4.17. その他 4.17.1. 有効・無効の設定 現像パラメータの中に「有効・無効」の設定ができるものがあります。 「ファインカラーコントローラ」、「レンズ収差補正」、「回転・デジタルシフト」のサブコントロールにこれらは存在します。 4.17.2. ダイナミックデフォルト 「ファインカラーコントローラ」ではサブコントロール全体、「レンズ収差補正」では3つのブロックに分かれて現像パラメータの有効・無効を切り替えられるようになっています。 パラメータブロックが無効の場合、パラメータブロックを構成する現像パラメータの値がどんな値であっても等価な状態となります。 撮影時の機種 (撮影素子の種類やサイズ、解像度等) やRAWデータの撮影時の情報 (ISO感度等) を元に、弊社が最適と考えた値に一部のパラメータ初期値を変更する機能です。 WBの撮影時情報、レンズ収差補正のシェーディングの画角、回転・デジタルシフトの画角、シャープネス(輪郭強調)、NR(偽色抑制、ノイズ除去)、現像設定(デモザイク精鋭度)、ハイライトコントローラ(明部補償、ダイナミックレンジ)の初期値が動的に変わります。 パラメータ初期値が「初期値」の場合に有効です。 「初期値」以外の場合でも、WB、シャープネス/NR、現像、ハイライトコントローラ、等ダイナミックデフォルトの機能を使いたい補正部分にパラメータを適用しない部分テイストを用意し、それをパラメータ初期値として設定すれば有効になります。 この機能の搭載により、写真(RAWデータ)をカメラから取り込み最初に開いた状態から、上に挙げた各パラメータの初期値が、撮影時の情報を元にそれぞれSILKYPIXがお薦めする、より良好な画質で表示します。その為、後工程としてパラメータ調整の追い込み作業を行う場合においても、各撮影条件に合わせた調整が施されている状態からスタートできますので、円滑に進めることができるでしょう。 4.17.3. Mac OS でのマウス・キーの操作について このマニュアルでは2ボタン以上あるマウスを使用した場合を想定して記述しています。また、説明内容はWindows版の動作を元に記述しています。 Mac OSでご使用の場合は以下に置き換えて操作してください。
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