夕日に染まった水平線付近から、空が高くなるにつれて徐々に濃い青へと美しいグラデーションを見せてくれる夕陽、その夕日をきれいに仕上げるためのTIPSをその調整の意図や調整方法のアイデアなども含めて紹介します。
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夕景のホワイトバランスを考える

今回のテーマは夕景
筆者の勤めている市川ソフトは東京湾に面した海の近くにある。
夕方少し海の方へ行けばきれいな夕景に出会える事が多いのだが、あまり近すぎると日常化してしまい、撮影機会も減ってしまっていたため今回改めてこのテーマを選択してみた。
今回はホワイトバランスに注目して夕景の色のコントロールをしてみたいと思う。

撮影時の状況

このようなロケーションでの撮影
ロケーションは幕張の浜で撮影時刻は2011年12月05日の16時50分。
太陽が水平線に沈んだ直後位のいわゆる「マジックアワー」などとも呼ばれている時間帯だ。
夕日に染まった水平線付近から、空が高くなるにつれて徐々に濃い青へと美しいグラデーションを見せてくれる。

カメラ設定(AWB)

撮影時、WBはカメラ設定(AWB)
まず最初にカメラ設定。今回はAWBで撮影した。
露出、HDR、調子をすでに変更している。
まあまあ良い感じだと思う。夕日の色(オレンジ)がしっかりと出ていて悪くはない。
ただ、今回の筆者の意図は波打ち際に写りこんだ高く青い空の色も再現したいと言う事がある。
前の写真で波打ち際を見て欲しい。青味が抜け、グレーに近づいているのが分かるだろうか?
これはカメラのAWBが波打ち際の空の写りこみ(青)を青かぶりと判断した結果それを補正したのではないかと筆者は推測した。

SILKYPIXでRAW現像時、色温度を少し低く設定

SILKYPIXでRAW現像時、色温度を少し低く(青い方向へ)設定した。
撮影時が約4570Kに対して調整後が4300K。300K弱の変更だが波打ち際のグラデーションの青味が強くなってきたのが分かるだろうか?ここで気を付けたいのが、夕日のオレンジと波打ち際に写りこんだ空の青さの色のバランスだ。RAW現像時にあまり青く調整し過ぎると夕日の色はどんどん薄く感じるようになってくる。この2つを上手く両立させるところに着地させるように調整した。
これで完成でも良いのだが、今回は写りこみの青が紫っぽいのが少し気になる所。もう少しクリアな青で冬の空を表現したい所だ。

ホワイトバランス微調整で紫かぶりが少なくなる所を探してセットしてみた。

ここでの調整のポイントにしたのは写りこみのグラデーションのつながりだ。
砂浜の奥にあるオレンジから手前の青はそのまま空の色を写し込んでいる。そのつながりを意識して筆者が美しいと思う冬の空のグラデーションをここで表現した。ここでも水平線近くの夕焼けの色が薄くなり過ぎないようにバランスを見ながらの調整となった。

最後にカラーから彩度を少し上げてみた。

これはホワイトバランスを夕日と青空の中庸を狙ったため、双方の色味が少し薄く感じられるようになったのを補填する意味合いで使っている。あまり不用意に彩度を上げすぎるとべったりとしたり階調が失われたりする事があるのでそこに注意しながら調整するのがおすすめだ。
今回のこの写真はこれで完成とする。

ちなみにホワイトバランスだけでこんなに変わるよ~というのをお見せしよう。

SILKYPIX WB(晴れ)

WB微調整でマゼンタっぽく

SILKYPIX WB(日没後)

SILKYPIX WB微調整でマゼンタっぽく
SILKYPIX WB(日没後)
SILKYPIXのWBテイストで晴れを選択したもの。銀塩デイライトフィルムを使ったっぽい色合いだ。夕日の色が少し強く出ている。夕日の色重視だとこれはこれで悪くない。 ホワイトバランス微調整でマゼンタを乗せたもの。これだと少し夏っぽいイメージになりますね。南国の島の夕景とかの味付けとしてはこんなイメージ付けも良いかも知れません。
SILKYPIXのWBテイストで日没後を選択したもの。
かなり夕日の色が強く出ています。主題を夕焼けだけに絞り込むのであればこのような仕上げ方もありでしょう。例えばこの場所にモデルさんを立たせ、もう少し露出を上げて撮影すれば風景ポートレートなどでは夕焼けの空気感は強く表現できますし、温か味も感じられます。

今回の要点をまとめると…

Before
撮影時、WBはカメラ設定(AWB)
After

夕景のホワイトバランスまとめ

このようにテーマやコンセプト、または被写体の特徴などに応じて、試行錯誤しながらホワイトバランスをセッティングして行けるのもRAW現像ならではです。
ホワイトバランスは色全体を相対的に動かしますので、フォトレタッチでカラーバランスを調整するのに比べて不自然になりにくく、簡単に且つ様々なイメージに対応する事ができる。
ちなみに普段はこんなにロジカルに考えながら作業を行っている訳でなく見た目の印象で「ここをこうしたい」とかいう感じで調整を行っているのだが今回は説明の為に色々解説を考えながら紹介している。
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斜光の輪郭をギラッと仕上げる

夕景では斜光によって被写体の輪郭がギラッと浮き上がって見える時がある。
このような状況は美しいのですが輝度差があるため、なかなかイメージした仕上がりで撮影できない場合がある。今回の写真も橋梁に日が当たっている部分のシルエットが美しかったので、これを仕上げてみたいと思う。
コンセプトは「ギラっと」仕上げるだ。

初期設定(アンダー目)

初期設定(アンダー目)
撮影時にはかなりアンダー目に撮影している。これは日の当たっている部分の階調を残すためにそこに露出を合わせているためだ。場合によってはスポット測光なんかを使って光っている部分で露出を決めてみても良いのではないか?
ただしこのままだと光も鈍くアンダーな仕上がりだ。

最初に露出補正でハイライトを決める。

SILKYPIXで露出補正(+2EV)
SILKYPIXでRAW現像時に橋梁のエッジの部分の光や手すりの部分などに注目しながらハイライト部分ができるだけ明るくなる(階調が残るギリギリ)を狙って明るく補正していく。
空やシャドー部も引きずられて明るくなって来るが、ここでは無視しておいて欲しい。
今回は結果的に+2EVの露出補正を行っているが、当然ノイズも少し目立ってくるのでできるだけ低感度で撮影しておくのもポイントだ。(これだけ明るければ当然低感度になるとは思うが。)

調子~ガンマを下げて中間調の明るさを落としていく。

SILKYPIXでガンマ調整(0.7)
露出補正で明るくなってしまった中間調を「調子」の中にある「ガンマ」を下げて暗くしていく。ちなみにガンマとても大雑把に言うと中間調の明るさをコントロールする機能だ。そのため、明るさを調節してもハイライト、シャドーの極端な部分には影響が少ない。
言い換えると、写真全体の明るさのレンジはそのままで階調補正により明るさを変更するイメージだ。設定のポイントは空の色がしっかり出てシャドー部の黒浮きが抑えられる所位まで。結果的にガンマの設定は0.7まで下げた。

今回の要点をまとめると…

Before
初期設定(アンダー目)
After
SILKYPIXでガンマ調整(0.7)

ギラっと輝くエッジなどを強調するための手順まとめ

  1. 撮影時はハイライトを残す
  2. RAW現像時の露出補正でギリギリまで明るく
  3. シャドー~中間調が浮いた分はガンマを下げてコントロール

こんな感じで仕上げる方法もある。
街スナップ、鉄道、MOTOやGTレースなど斜光を使った作品が多く見られる被写体もあるのでそんなイメージをお持ちの方はぜひぜひ試してみて頂きたい。
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夕暮れの日陰を暖かく仕上げる

浜辺で撮影していると、仲のよさそうなカップルが自転車に乗ってきて海を見て何やら話していた。そんな彼らの自転車の写真だ。今回の写真は自転車をカップルに擬人化して優しい夕暮れに並んでいる姿などを想像できるような仕上がりにしてみたいと思う。
要するに夕暮れの日陰を暖かいイメージで

初期設定

カメラのAWBが夕日の色を補正してしまった
写真の中に太陽などの光源が無い、夕暮れ時の日陰の撮影ではカメラのAWBが夕焼けの色を完全に補正して夕暮れの雰囲気が弱くなってしまう事がある。これだと逆にどこか寒々しい雰囲気に感じられる。

まずは明るさをチェック

最初にアンダー気味な露出を補正する。自転車のハンドルバー辺りの写りこみが輝いて見える所位まで補正した(+1.0EV)。少し夕暮れの薄暗い雰囲気は薄まるのだがこれは後に調子で調節する。この写真の場合露出については深く考えずにこの程度にしておこう。

ホワイトバランスは雰囲気重視で

WBで夕日の雰囲気を出した
まず、カメラのAWBで補正してしまった夕暮れの色を再現する必要がある。
撮影後、すぐに調整できればその時の印象をまだ覚えているかも知れない。しかし、時間を置いてしまうと撮影時の状況を忘れがちになってしまう場合も多いだろう。
しかし、細かい部分は忘れてしまっていても差支えないのではないかと筆者は思う。少し客観的な視点でその時の夕暮れの雰囲気を思い出しながらホワイトバランスをセットすれば、この写真を見せる人の状況に少し近い(撮影時の状況を知らないという意味で)感性で調節できるのではないかと感じている。
ちなみに撮影時設定(カメラのAWB)では4989Kだった色温度をRAW現像時に10000Kまで上げた。ちょっと高すぎと思う方も居るかも知れない。しかし、この写真では夕日や夕焼け空など夕暮れ的なものが画面の中に存在しない。そのためこれが夕暮れに撮影されたものである事が分かるように少し暖色系に振ったセッティングに味付けをした。
この辺はお好みで。

薄暗さの雰囲気は調子~ガンマで

ガンマで夕暮れの薄暗さを演出
先程ハイライト(ハンドル回り)の明るさを適正にするために露出補正で写真を明るくした。その結果夕暮れの雰囲気が弱くなってしまったと書いた。
しかし、夕暮れだし少し薄暗い雰囲気は欲しい所だ。そこで「調子」の中にある「ガンマ」を下げて中間調を少し暗くする事で薄暗い雰囲気を演出していく。「ガンマ」は中間調の明るさをコントロールする機能だ。
ガンマを0.95にセットした所で完成。
いかがだろうか?この写真が夕暮れに撮影されたという雰囲気が調整前よりも伝わるだろうか?今回はWBを暖色系に振って優しい・暖かい雰囲気を伝えようとした例だ。

今回の要点をまとめると…

Before
After
ガンマで夕暮れの薄暗さを演出

夕暮れの日陰を暖かく仕上げるための手順まとめ

いかがだろうか?この写真が夕暮れに撮影されたという雰囲気が調整前よりも伝わるだろうか?今回はWBを暖色系に振って優しい・暖かい雰囲気を伝えようとした例だ。
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夕日の色を使って真面目に遊ぶ

夕日はオレンジ色をした光源の色をしていますね。この色を使って色々遊んでみた。
遊ぶと言っても、もちろん結構真面目に考えてますよ。

まずは1枚目、撮影時設定

夕日に照らされた壁がオレンジ色になっている所に自転車を立てかけて撮影した。

夕日でWB

この写真で赤い四角で囲まれた部分をSILKYPIXのグレーバランスツールで選択すると、ここがグレーで再現され結果的に
真っ青になります。

カラーから彩度を下げて色を落ち着ける

彩度を0.3まで落とした
この状態でカラーから彩度を落としていくと(この場合は0.3まで落とした)、特殊なライティングをしたような渋い表現になります。
どうでしょうか、こういうの??

2枚目、撮影時の状態

海面をスローシャッターで
夕暮れの海面を少しスローシャッターで流して模様みたいに撮影しました。

任意でWB

紫っぽく演出
これをベースにWBを使って任意で調整。
少し紫っぽい感じで演出。

やわらかな雰囲気を強調するために調子とカラーを調整

さらに、調子を軟調にして記憶色1を適用。
サテンの布のような質感を水で表現してみました。

今回の要点をまとめると…

Before
Before
After
After
軟調にして記憶色1を適用

WBで遊ぶ方法のまとめ

このような感じで、「夕焼≒特殊照明」という考え方も色々遊べてありなのかなと思います。
RAW現像、特にその中でもWBでは色々な表現ができる可能性を持って居るかも知れません。

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