SILKYPIX®SOFTWARE MANUAL
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10.画像チューニングガイド
    本ソフトウェアには、現像時のパラメータ設定が豊富に用意されています。
    開発にあたり、パラメータをできるだけ減らして、簡易なインターフェースを心がけましたが、高画質追求のために必要と思われるパラメータは固定化することなく調整可能としています。
    しかし、どのパラメータを変更すれば絵がどう変わるかという感覚を身に付けるのは大変になってしまいました。
    ここでは、逆に「絵をどうしたいか」ということから「どのパラメータを変更すれば良いか」という参考になるガイドを紹介しています。

    10.1 絵が眠い

    絵がシャープじゃない。なんか力がない。なんか眠い。
    そんな印象を受ける場合には、ここの内容を参考にパラメータを調整してみましょう。
    1.露出補正
      RAW現像では、カメラが捕らえた広大な輝度情報を切り捨てて、必要な部分だけを写真として再現する領域を決めること、これが現像時に可能です。
      RAWを使わない場合、カメラに入る光を写真として表現するのは撮影時の露出がすべてでした。
      しかし、RAWでは、撮影後の現像段階でこれを決定できます。
      不要な部分を取り除いていくトリミング作業のように、明るさの方向に対して、あなたが表現したかった明るさの範囲をトリミングしてゆく、これが露出補正なのです。
      露出補正をいろいろ変更してみて、あなたが表現したかった写真の部分が適度な明るさになるように調整してみてください。
      あなたの写真は、明るさをとりもどし、力が出てきたと思います。

    2.調子表現
      次は、カメラが捕らえた明るさをどのように圧縮もしくは伸張するか、それを決めるのが調子表現です。
      まずは、コントラストを上げてみましょう。
      白い部分をもっと白く、そして黒い部分はもっと黒く、これはあなたが表現したい範囲を狭め、それをデバイスの表現範囲に拡張する作業です。この作業で写真に力が出てきます。

      では、どこを境としてコントラストの強調を決めるのか、これがコントラスト中心です。
      あなたの写真が明るいなら、コントラスト中心を上げて明るい部分を中心として、コントラストがつければいいでしょうし、暗いならコントラスト中心を下げて、暗い部分を中心にコントラストをつけましょう。
      どうでしょうか?
      だいぶ症状が改善されてきましたね。

      写真にフレアーが乗っていたり、埃っぽい印象を受けたなら、黒レベルをあげてみましょう。
      写真が締まった感じがしませんか?
      逆光や、遠景の撮影などで、眠い感じになったら、黒レベルをあげて黒を引き締めてください。

    3.シャープネス
      ここまで、調整されれば、もうだいぶ眠くなくなってキレのある写真になってきたと思います。
      あとは、ピントがいまいち...
      ここからは、写真の中で注目している場所を拡大(100%以上の表示倍率で)して、輪郭のシャープさを調整しましょう。
      まずは、シャープネスを最大にしてみましょう。
      写真の輪郭が明瞭になり、カチッとした印象になったはずです。
      でも、よく見ると、同時にノイズも多くなり、もともとはっきりした輪郭は強調されすぎて不自然になっているかもしれません。
      この不自然さが消えるようにシャープネスを弱めていけば調整は完了です。
      シャープネスの設定をさらに追い込むには、「10.2 解像感の高い絵を作りたい」を参考にしてください。

    10.2 解像感の高い絵を作りたい

    解像感の高い絵を作るには、シャープネスを調整します。これをシャープネスコントロールと呼ぶことにします。
    単純に言えば、[Sharp]コンボボックスで強い設定を選ぶか、[Sharp]タブ内にある輪郭強調を上げれば輪郭が鮮明になります。
    しかし、同時にノイズ成分を強調してしまいます。

    本ソフトウェアでは、シャープネスのコントロールの際にノイズを除去する処理を同時に行うことができ、これをノイズキャンセラと呼んでいます。
    両者は相反する関係にあり、

    1.シャープネス(輪郭強調ディティール強調)をあげるとノイズが増えます。
    2.ノイズキャンセラを強くすると解像感が失われます。

    本ソフトウェアでは、これ以外に、RAW レベルで積極的にノイズを取り除く NR の調整機能([露出]タブの中のNRスライダー)があります。
    また、解像感とは直接関係ありませんが、同時に調整する項目として、偽色抑制と、現像精度があります。

    ここでは、これらのパラメータを最適化するための調整方法を解説します。
    以下に示す手順で調整を行うことで最適なパラメータの組み合わせが比較的簡単に得られます。

    0.調整前にホワイトバランス露出補正、調子、色の調整は先に行っておきます。

    1.まずシャープネスや、ノイズキャンセラをOFFにします。
    2.NRスライダーをあげていき、絵のディティールの感じを見ながら追い込みます。
      NRスライダーの調整により高周波ノイズは減りますが、ディティールがつぶれやすくなります。
      ここでディティールをつぶしてしまうと、あとのシャープネスでは復活することはできませんので、ディティールをつぶさない程度に調整する必要があります。
      また、NRスライダーをあげると逆に低周波カラーノイズが目立ちやすくなりますので、偽色抑制も同時に調整してください。
      現像精度を調整する場合は、NRスライダーの調整が完了してから調整します。

    3.シャープネスとノイズキャンセラを調整し、好みの解像感まで追い込みます。
    この順番が効果的なのは理由があります。
    ホワイトバランス露出補正、調子、色の調整が絵の色方向に関連するパラメータであり、現像精度偽色抑制NRシャープネス、ノイズキャンセラは絵の解像度方向(周波数面)に作用する操作です。
    このため、まずは基本的な色方向のパラメータを定め、次に画像が処理される順番に沿って調整していくのです。
    解像度方向(周波数面)の処理は、次のようにな順番で処理されます。

    RAW --> NR --> デモザイク(現像精度偽色抑制) --> シャープネス(輪郭強調ディティール強調黒ぶち色づき抑制)、ノイズキャンセラ(ノイズレベルキャンセラ強度)

    つまり、色方向のパラメータを決めて(0)、後段での処理をOFFにして(1)、処理の順番に沿って、NR偽色抑制を調整し(2)、最後にシャープネスとノイズキャンセラを追い込む(3)ということになります。



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