| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
現像パラメータを調整するには、コントロールウインドウを使います。初期状態では、コントロールウインドウは操作画面の左側にありますが、コントロールウインドウは、表示設定で右側に配置することもできます。 基本的な操作の流れとしては、露出補正量と偽色抑制の強さをスライダーで設定してから、ホワイトバランス、シャープネス、調子、彩度をプリセット値を選択することになります。 コントロールウインドウの中央には、各々の項目の詳細設定を行うためのタブシートが配置されており、例えば、[露出]タブを選択するとコントロールウインドウ下部に露出を調整するためのパラメータが表示されて、露出に関する細かな設定が行えるようになっています。
プレビューを自動的に更新させないようにするには、[現像]タブから[自動反映]項目のチェックをはずしてください。 また、プレビューを高速に更新させるテクニックもあります。詳しくは、プレビュー更新の高速化をご参照ください。 [現像]タブから[自動反映]項目のチェックを外している場合には、ボタンをクリックすることで、プレビューの更新することができます。 ※ボタンをクリックするかわりに、[現像]タブにある「プレビューに反映」ボタンをクリックしてプレビューを更新することもできます。
調整は、露出補正スライダー、または、[露出補正]コンボボックスより調整値を選択することで行えます。 現像時に露出補正が可能なため、露出補正を前提とした撮影も可能です。詳しくは、カメラでの露出補正と、現像時の露出補正の違いと応用をご参照ください。 4.3.1 自動露出補正
SILKYPIX® Developer Studio の自動露出補正のアルゴリズムは、被写体を認識し、含まれる色を細かく分析し、白とびや色とびを抑えつつ、表示デバイスや印刷デバイスの色再現能力を 使い切れるよう、弊社の画像処理技術の粋を集めた高度な画像処理を施しています。 本機能により現像パラメータ調整の時間を短縮し、また、RAW ならではのアンダー露出での撮影時などにも威力を発揮します。 自動露出が設定されたコマの現像パラメータを他のコマへコピーすると、算出された自動露出量ではなく、自動という状態が伝わり、コピーされたコマで 再度自動露出値が計算されます。この性質を利用すると撮影したコマすべてに自動露出を適用することが簡単にできるようになります。 [---> 複数コマに自動露出補正、オートホワイトバランスを適用する]
[露出補正]コンボボックスか、露出補正スライダーで大まかな調整を行い、この露出微調整スライダーで微調整の追い込みをかけると便利です。
[露出]タブにある「露出補正ツール」ボタンを押すと、露出補正点指定モードに入ります。 この状態で、写真の部分をクリックするか、あるいはドラッグして範囲を指定すると、その部分を指定した輝度レベルにするような露出補正値が設定されます。 ここで使用される輝度レベルは、RAW データ上での感光レベルです。機能設定の「露出補正ツールの設定」で変更することができます。詳しくはこちらを御参照ください。 また、この機能は、無彩色の点でなくても指定可能です。その場合、R, G, B のうちの最も大きな値が指定した輝度レベルになるように調整されます。 例えば、赤い部分をクリックした場合には、R が指定した輝度レベルになるような露出補正値が計算されて露出補正が行われます。 ※[露出]タブにある「露出補正ツール」ボタンのかわりに、ボタンを押しても同様です。 ※スポイト操作に関する設定は「9.3.8 スポイト操作をワンショットで解除せずに連続して行う」をご覧下さい。
我々人間の目は、環境光に適応する性質を持っています。太陽光の下でも、電球の下でも、蛍光灯の下でも、白いものを白と知覚することができます。しかし写真では、太陽光の下での「白」は白く再現できても、電球の下では赤みがかかり、また蛍光灯の下では緑や青みがかかってしまいます。 これを調整するのがホワイトバランス調整です。 ホワイトバランスの調整により、写真は大きく色が変化し、その表情を変えます。白い被写体を白く再現したとき、もっとも色味が豊かで自然な写真に見えるのです。ホワイトバランスの基本は、白いものを白く表現することなのです。 しかし、撮影されたシーンによっては、必ずしもそうではありません。 例えば、夕日に照らされている白いものを完全に白く表現してしまうと、夕方であることが分からなくなるでしょう。また、どんよりとした曇り空の下で、憂鬱な気分を演出したいなら、やはり青っぽく表現する必要があるかも知れません。 ほとんどのカメラでは、自動でカメラがホワイトバランスを決定することができるようになっていますが、それは必ずしも正確ではなく、また正確であってもあなたが望む結果ではないかも知れません。そこで、ホワイトバランスをその表現に応じて設定する必要が出てくるわけです。 しかしながら、撮影時に正確なホワイトバランスを割り出すのはとても大変なことです。 これら様々なシーンに対して、RAW データで撮影することで、現像時にホワイトバランスを自由に変更し、シーンにあった表現を行うことができるのです。RAW データで撮影する最大のメリットがここにあると言っても過言ではありません。 4.4.1 プリセットを使ったホワイトバランスの調整
[WB(プリセットホライトバランス)]コンボボックスから光源を指定します。 この指定を行った後で、更に微調整を行うことが可能ですので、まず撮影時の光源を選択するのが便利です。 このプリセットコンボボックスに表示されるプリセット項目は、カメラによって変化します。 ここでは、一般的なプリセット項目について説明します。 オート ・・・ カメラなどに応用されているオートホワイトバランスとはまったく異なる独自アルゴリズムによるオートホワイトバランスです。アルゴリズムの特徴は、光源色をかなり正確に特定することができます。 ●昼光 ・・・ 野外での撮影の場合のホワイトバランスです。 晴れ夕方 ・・・ 晴れの日の夕方、太陽光が直接被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 快晴 ・・・ 快晴の日の昼間、太陽光が直接被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 晴れ ・・・ 晴れの日(うす曇りを含む)の昼間、太陽光が直接被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 曇り ・・・ 曇りの日に、雲からの散乱光を受けた被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 晴天日陰 ・・・ 晴れの日(うす曇りを含む)の昼間、日陰の被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 快晴日陰 ・・・ 快晴の日の昼間、日陰の被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 ●蛍光灯 ・・・ 蛍光灯の光を受けた被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 ●3波長型蛍光灯・・・ 家庭などで広く使われている3波長型蛍光灯の光を受けた被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 ●白熱球 ・・・ 電球の光を受けた被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。 ●フラッシュ・・・ フラッシュの光を受けた被写体を撮影した場合のホワイトバランスです。
写真をどう表現したいかによって決まるもので、それは撮影者である「あなた」にしか決定できません。 しかし、たくさんの写真を現像する場合、一枚一枚に最適なホワイトバランスを設定するのは大変です。 そこで、機械的に光源色を白く再現するオートホワイトバランスの登場です。 本オートホワイトバランスは、カメラ等で採用されている方式と動作原理が根本的に異なり、 従来型のオートホワイトバランスが苦手とする彩度の高い被写体や、 白い部分がない被写体であってもかなり正確にホワイトバランスを検出することができます。 このため、撮影時に白かったものが白と再現されるホワイトバランスをオートで手軽に得ることができます。 これは、ホワイトバランスの基本ですから、まずオートホワイトバランスを設定して、 オートホワイトバランスが外れてしまったものを手動調整することで、ホワイトバランスを手早く 設定していくことが可能になります。 複数のコマに一気にオートホワイトバランスを設定することもできます。 [---> 複数コマに自動露出補正、オートホワイトバランスを適用する]
[WB]タブに切り替えると、色温度調整スライダーが表示されます。 このスライダーを動かして、被写体の色味がうまくバランスする点を探します。 被写体が赤または黄色みがかっている場合には、色温度を小さく(低く)する側にスライダーを動かします。 被写体は青みがかっている場合には、色温度を大きく(高く)する側にスライダーを動かします。 色偏差スライダーは、色かぶりを取るために使用します。まず最初に色温度を合わせてから使用してください。 被写体が緑かぶりしている場合には、+側にスライダーを移動します。 被写体がマゼンタかぶりしている場合には、−側にスライダーを移動します。 参考:13.1 色温度と色偏差について
この状態で、写真のグレーにしたい部分をクリックするか、あるいはドラッグして範囲を指定すると、その部分をグレーとして再現するようなホワイトバランスが設定されます。 グレーのものがある場合には、この機能を使うと簡単にホワイトバランスの設定が可能です。 また、グレーチャートや白紙などをあらかじめ撮影光源下で撮影しておくと便利です。 ※[WB]タブにある「グレー指定」ボタンのかわりに、ボタンを押しても同様です。 ※スポイト操作に関する設定は「9.3.8 スポイト操作をワンショットで解除せずに連続して行う」をご覧下さい。
明るい部分では、ホワイトバランスが取れているのに、暗い部分がマゼンタや緑かぶりを起こす映像を補正することができます。この機能により、暗い部分から明るい部分までの色の揺らぎを抑えることができます。 例えば、左図は、暗部に強いマゼンタかぶりが発生している例です。 マクベスチャートのグレーパッチに注目すると、明るいパッチはホワイトバランスされているのに、暗い部分はマゼンタに色付いていることが分かります。この影響を受けて、葉が黄色っぽく変色し、影の部分は赤みがかかってしまっています。暗部調整では、このような暗部だけホワイトバランスがずれる現象を緩和することができます。右図は、暗部調整機能を使用して、暗部のマゼンタかぶりを取り除いた例です。 [暗部色かぶりの詳細について]
暗部の色かぶりを補正するのが本機能の主目的ですが、この機能を積極的に使用することで、暗い部分と明るい部分のホワイトバランスを変化させることができます。 左は、撮影時の状態です。奥に移っている太陽光が当たった部分に合わせて、ホワイトバランスを「快晴」に設定すると、真ん中になります。ところが、真ん中では、木漏れ日によって、地面の色が緑に色づいています。地面の色にホワイトバランスすると、こんどは、陽の当たっている部分がマゼンタに色づいてしまいます。つまり、ホワイトバランスだけでは、地面と陽の当たっている部分の両方をバランスすることはできません。もちろん、実際には木漏れ日によって地面は緑に色づいているので、真ん中がそのときの正常な色を再現しています。しかし、人間は色順応するために、撮影時の印象とは異なってしまっています。このようなケースでは積極的に暗部調整を使って暗部のホワイトバランスを調整することができます。右は、暗部調整により、陽の当たる明るい部分の色はあまり変えずに、暗い地面の緑かぶりを取り除いた例です。撮影時の印象にかなり近づきました。 色温度、色偏差との使い分け ホワイトバランスを調整する際には、色温度、色偏差により明るい部分のホワイトバランスを先に決めます。次に、暗部の色づきが気になる場合に、暗部調整を行ってください。暗部調整は、暗部に対して強く効きますが、明るい部分にも影響を与えますので、暗部調整を追い込んだのちに、再度、色偏差を調整して仕上げると作業が効率良く行えます。 暗部色かぶりの詳細について 暗部の色かぶりは、なぜ発生するのでしょうか? 原因は、イメージセンサーの漏れ電流と関係があります。漏れ電流があるために、真っ黒の部分でも RAW データに記録される値は0にはなりません。 SILKYPIX® Developer Studio では、イメージセンサーの漏れ電流に相当する部分を RAW データから減算して(オプティカルブラック補正)映像を生成します。ところが、イメージセンサーの漏れ電流は、温度が高くなるほど大きくなり、温度が低くなるほど小さくなるという性質があります。ほとんどの場合、カメラ内で温度に関係なく一定のレベルで黒を記録するようになっていますが、調整状態や撮影環境によっては、このレベル(オプティカルブラックレベル)が揺らぐことがあります。イメージセンサーの色ごとの感度差により、オプティカルブラックレベルが大きくなると暗部がマゼンタに色づき、小さくなると緑に色づきます。暗部調整は、このようなケースで暗部の色づきを緩和するための調整機能です。極端な低温下での撮影、高感度撮影、長時間露光などの厳しい条件で暗部のホワイトバランスがずれたのを補正できます。
これは、最後にほんの少しだけホワイトバランスを変更したい場合に使用します。 ホワイトバランスターゲット、彩度スライダー 、色相スライダーの3つのコントロールを用いて、より詳細に設定することが可能になります。 ・ホワイトバランスターゲット ・色相スライダー
設定値により次の場所を指定します。
1) 赤みを取りたい(赤かぶりを取りたい) 2) 青みをとりたい(青かぶりを取りたい) 3) 紫かぶり(マゼンタかぶり)をとりたい 4) 緑かぶりをとりたい
ただし、あまり強くしすぎると、輪郭が白や黒で縁取られたり、反対色で縁取られる現象が現れます。 印刷結果などを参考にしながら、適切な強さを設定してください。 また、シャープネスを強くすると、同時にノイズも強調されてしまうので、ノイズとのバランスを取ることも重要です。 4.5.1 プリセットを使ったシャープネス調整 4.5.2 細かなシャープネス調整
プリセットでは、これらのパラメータをバランス良く設定してありますが、これらをマニュアルで設定することで、より細かな調整が可能です。 [Sharp]タブに切り替えると、3つのスライダーが表示されます。以下にそのパラメータの詳細を記します。 シャープネスの設定を追い込むには、「10.9 解像感の高い絵を作りたい」も参考にしてください。 (1) 輪郭強調
このパラメータを強くすると、はっきりとした輪郭をあまり強めることなく、ディティールの解像感を上げることができます。 ただし、ノイズも同時に強調されやすいので、ノイズとのバランスを見ながら調整してください。 ※ディティールの強調具合は、(1)輪郭強調のパラメータとの両方で決まります。(1)輪郭強調を弱めた場合には、ディティールの強調も同時に弱くなるようになっています。まず最初に大まかに(1)輪郭強調のパラメータを設定した後で調整してください。
ただし、このパラメータを強くすると、色分離が悪くなります。(異なる色の境界で色が抜け、白くなりやすくなります) ですから、色分離とのバランスを見ながら調整してください。
4.6.1 プリセットを使った調子の調整
超軟調〜超硬調までの7段階、および、ローキー、ハイキーの計9段階から選択できます。
プリセットでは、これらのパラメータを平均的な被写体を適正露出で捉えた(あるいは、露出補正により適正とした)場合を想定して設定してありますが、マニュアルで調整することで、より細かく調子を調整できます。 [調子]タブに切り替えると、3つのスライダーが表示されます。以下にそのパラメータの詳細を記します。 (1) コントラスト
コントラストを強く(大きく)すると、明るい部分がより明るくなり、暗い部分はより暗く表現されることになり、硬調になります。 逆にコントラストを弱く(小さく)すると、明るい部分と、暗い部分の差が小さくなり、軟調になります。
別の言い方をすると、コントラスト調整に際して、変化しない明るさをどこにするかを決定します。 コントラスト中心を小さくすると、印象的には、明るくなったように感じられます。 これは、暗い部分を中心としてコントラストを上げるために、暗くなる部分が狭まり、明るくなる部分が大きくなるためです。 逆に、コントラスト中心を大きくすると、印象的には、暗くなったように感じられます。 コントラストを強める操作は、明るい部分と暗い部分の階調を圧縮し、コントラスト中心付近の階調を伸張する操作です。 ですから、コントラストをつけたい被写体が暗い場合にはコントラスト中心を小さく設定し、逆に明るい場合にはコントラスト中心を大きく設定することで、望ましい調子表現が行われます。 コントラスト中心は、ヒストグラム上に表示されます。また、ヒストグラムを表示している状態でマウスカーソルをプレビュー上の写真の位置に持っていけば、その点の R,G,B の輝度を表示します。この機能を使って、コントラストをつけたい部分の輝度分布を見ながら調整すると、比較的簡単に最適値を見つけることができるでしょう。
これだけの説明では、露出補正と同様かと思われるでしょう。しかし、かなり様子は異なります。 露出補正が、暗いところと明るいところの比率を変化させずに調整するのに対して、ガンマは比率が変化します。 ガンマを大きくすると、明るい部分が圧縮されて暗い部分がそのぶん伸ばされて明るくなります。 ガンマを小さくすると、暗い部分が圧縮されて明るい部分(そのぶんの暗い方向に)が伸ばされて暗くなります。 このため、本ソフトウェアでは、この操作は調子を変える操作と位置づけて調子表現の項目に分類してあります。 このような表現で、コントラストを言い表すならば、コントラストを強めることは、明るい部分と暗い部分を両方とも圧縮して、中間的な明るさの部分を伸ばす操作と言えます。 つまり、中間的な明るさで捉えられている被写体は、より大きな明るさの差の中で表現されることになるわけです。 そして、その中間的な明るさを決めるのがコントラスト中心の調整なのです。
黒として表現するレベルを指定するもので、このパラメータを大きくすると黒が締まります。 逆光撮影で、全体的に眠い感じになったときや、風景などが空気の乱反射の影響で眠い感じになっている場合に効果を発揮します。
4.7.1 プリセットを使った彩度の調整
最弱〜最強までの7段階、およびモノクロ2種類から彩度を調整します。 最弱が最も色の鮮やかさが弱く、最強が最も鮮やかさが強い設定です。 彩度を強くするほど、色が鮮やかになりますが、もともと鮮やかな色があった場合に、色が飽和してディティールが失われることがあります。 彩度を調整する場合には、全体的な色の鮮やかさを見ながら調整するとともに、鮮やかな部分の色が飽和してディティールが失われないかも合わせて気を配る必要があります。 モノクロ、モノクロ2は、モノクロームの写真を作成する際に選択します。 モノクロは、以前のバージョン(Version 1.0)と同じ方式によりモノクロ化を行います。 モノクロ2は、人間の目の感度特性に近い自然なモノクローム写真を生成します。 場面に応じて、より自分の表現に近いモードを選択してください。 なお、モノクロ化は、最終的なカラー映像を色作りの最終段階で行われます。 したがって、ホワイトバランスやカラーモードを調整することで、様々なモノクロ化を行うことができます。
まず、プリセットコンボボックス内の設定をマニュアルにしてから、[Color]タブにあるスライダーにより、より細かな調整が可能です。
「sRGB」、「adobeRGB」のどちらかが選択可能です。 sRGB は、 Windows の標準的な色空間です。Windows ではデフォルトでの色空間を sRGB として扱いますので、通常は sRGB 設定でお使いください。 adobeRGB は、本ソフトウェアで現像された映像をさらにフォトレタッチソフト等で加工する場合や、印刷を目的としている場合に有効です。 sRGB に比べて広い色再現域がありますが、カラープロファイルをちゃんと扱える画像処理環境がない場合には使用できません。(色がおかしくなります) adobeRGB で出力されたファイルを他のソフトウェアで読み込む場合には、プロファイル設定を adobeRGB 色空間としてください。(方法は、ソフトにより異なりますので、御使用になるソフトのマニュアルをご参照ください) また、本ソフトウェアでは、色空間を示すカラープロファイルを出力ファイルに埋め込むことができます。プロファイルを埋め込んでおけば、カラープロファイルに対応しているソフトに色空間を伝達することが可能です。 また、本ソフトウェアは Exif 2.21 規格に準拠しており、adobeRGB 色空間を示す Exif 情報を出力することができます。 プロファイルの埋め込みや、Exif 情報の出力については、「現像結果保存設定」をご参照ください。 ※ adobeRGB を選択すると、プレビュー表示も adobeRGB 色空間で行われます。このため、モニタのカラーマネジメントを設定していない場合には色が変わって見えます。 aobeRGB を選択する場合には、正しい色でプレビューされるようモニタのカラーマネジメントを有効にしてください。-->「9.2.1 カラーマネージメント」参照
カラーモードには、「標準色」、「記憶色」、「美肌色」、「フィルム」があります。 4.7.4.1 標準色
多くの場面で違和感のない自然な色再現となります。
我々人間が記憶の中に残っている色、あるいは、この物体がこうあって欲しい色は、実際とずれていることが分かっています。これらは個人差もありますが、そこには一定の傾向や方向性を見出すことができます。 記憶に残っている色、あるいは、期待している色が写真として再現されたとき、「綺麗な色の写真」に見えるのです。 このモードは、この記憶色や、期待する色の傾向に合わせて色作りを行うものです。 色によってその方向性は異なりますが、ごく単純に言えば彩度が高くなる方向にあり、「標準色」モードに比べ、彩度が高めとなります。 このモードは、さまざまな場面で「綺麗な色の写真」を作りますが、高彩度の物体(花など)の場合には、色が飽和しやすくなります。 この場合には、飽和した色を「4.11 ファインカラーコントローラ」で調整するか、彩度のコントロールで彩度を弱めにするか、現像ゲインを低くして調整してください。 記憶色1は、本ソフトウエアの以前のバージョンの「記憶色1」と同等の色再現を行います。記憶色2は、新しい色再現技術「3次元カラーマッピング方式」を使った、より人間の感覚に近い記憶色を再現するモードです。 この2つは、好みに応じて選択してください。 ※現像ゲインを低くして暗く表現すると、高い彩度の物体の色が再現しやすくなります。彩度が高く、かつ明度も高い色は、ほとんどの表示デバイス(ディスプレイ)や、印刷デバイス(プリンタや印刷機)において不得手だからです。 また、このモードが適さないものとして、人物の写真があります。 肌色、すなわちオレンジ系の色は彩度を高く記憶します。このためこのモードにおいても彩度を高く表現しますが、人物の肌に関しては必ずしも彩度が高く表現されることを被写体の人物も、撮影者も好まない場合が多いからです。 人物の肌を綺麗に表現したい場合には、「美肌色」のカラーモードが適しています。
このモードは、「日本人の実際の肌色」を「綺麗な肌色と期待する色」に近づけるような色再現を行います。 肌と言ってもライティングによっては輝度変化や、受ける光源色の変化、そして肌荒れなどの影響で明度、彩度、色相ともに変化します。 このモードでは、実際の肌色を中心とした色をできるだけ「綺麗な肌色と期待する色」に近づけるとともに、近くの色とのバランスを取る必要性から、肌色から遠く離れた色以外は、全体に彩度を落とし、かつ明度の高い表現となります。 「標準色」モードでは、ホワイトバランスの調整によって「綺麗な肌色と期待する色」に近づけようとすると、肌以外の部分の色バランスが崩れ易くなりますが、このモードでは、肌色近傍の色をできるだけ近い色として再現し、かつ正常なホワイトバランスが得られるように調整してありますので、ポートレイトでご使用になると、自然な背景色と綺麗な肌色の双方を表現しやすくなります。 このモードの開発にあたり、主に参考にしたのは女性の肌色に対する期待色です。 それは、ごく単純に言えば実際よりも赤みがかる方向で、彩度が低く、明度が高いというものです。 この期待色の傾向は、特に女性で強く、男性はむしろやや黄色味をおびた健康的な肌色を好む傾向にあるようです。 このため、自然な肌色表現や、褐色の肌色表現を望む場合や、男性の写真には適さないかも知れません。 このモードから外れる場合には、「標準色」設定をお使いください。 美肌色1は、本ソフトウエアの以前のバージョンの「美肌色1」と同等の色再現を行います。 美肌色2は、新しい色再現技術「3次元カラーマッピング方式」を使った美肌色を再現するモードです。 美肌色3は、肌色近辺に関しては「美肌色」の再現を行いつつ、他の色に関しては「記憶色」方向に色がややシフトしている色再現を行います。綺麗な肌色と鮮やかな背景、服などを両立させたい場合に便利です。 ※綺麗な肌色の再現のためには、適切なホワイトバランスの調整が不可欠です。 光源の一定した撮影条件以外の場合では、これを調整するのは、なかなか手間がかかります。 本ソフトウェアでは、肌の一部をクリックすることで、その肌色を「綺麗な肌色と期待する色」に一発で調整する、「肌色バランス調整」機能を備えています。
フィルムでは、デジタルカメラと違い、光源色や露出により色が大きく変化します。フィルムで良い色を求めると、光源の色も露出の範囲も絞られてきます。 これではデジタルの良さが損なわれてしまいますので、本ソフトウエアでは、ホワイトバランスや露出調整をはじめとする全ての調整機能とフィルム調の色を両立させるべくチューニングを行っています。 このため、このフィルム調カラーモードを選択するだけで簡単にフィルムライクな色を得ることができます。 ただし、このモードを変えるだけでは、グレー軸の調子は変化しません。好みに合わせて調子も調整してください。 また、彩度を高く表現するフィルム調モード(例えばビビットなフィルム調V)は、ホワイトバランスの調整により大きく色が変化します。 合わせてホワイトバランスの調整を行い好みの色に追い込んでください。 4.11 ファインカラーコントローラを使用すると、さらに細かい色の調整が可能です。
ホワイトバランスだけでなく、クリックした点が「綺麗な肌色と期待する色」に比べて暗すぎる場合には、露出補正値も調整して明るくします。 調整した結果、肌色が赤く表現されすぎる場合には、赤すぎると思われる肌色を再度クリックします。 また、調整した結果、肌色が緑や青みがかって表現されすぎる場合には、緑または青みがかっている部分を再度クリックします。 何度かこれを繰り返すうち、適度な色の表現がみつかります。 その後で、ホワイトバランスを微調整したり、露出補正を微調整し、さらに、調子表現を調整してください。 女性の顔の肌色部分で調整を行う場合には、チークなどで赤みがかっている部分を避けて、汚い肌色と思う部分を指定することで望ましい結果が得られ易くなります。 ※肌色バランス調整後を連続して行いたい場合には、「9.3.8 スポイト操作をワンショットで解除せずに連続して行う」設定が便利です。合わせてご覧ください。
また、高感度撮影時には、ざらざら感の他に赤や緑、青といったノイズも発生し、これを本ソフトウェアでは色ノイズと呼びます。 これらのノイズを除去する機能がノイズリダクションです。 本ソフトウェアでは、ノイズリダクションの機能は、その特徴毎に異なるカテゴリーに調整パラメータが存在しています。 ここでは、ノイズリダクション機能についてまとめてあります。 4.8.1 偽色抑制
本ソフトウェアでは、細かな構造の部分(高周波部分)に発生する偽色と、ノイズによって発生する色ノイズ偽色の双方を同時に抑えることができます。 高感度撮影時に発生する色ノイズや、細かな構造の部分に発生する偽色が気になる場合に、抑制強度を強めてください。 ただし、この機能にはデメリットもあります。 抑制強度を強めれば強めるほど、色の分離が低下し、色境界で色がぼやけていきます。また、彩度の高い部分の色がその周囲に漏れてくる「色漏れ」という現象を引き起こします。 このため、抑制強度を強めすぎると、かえって映像品質を低下させてしまうことがあります。
また、シャープネスを強くした際に目立つノイズを除去する方法もあり、これは[NR]タブにあるノイズレベルとキャンセラ強度を使用します。 この操作につきましては、「10.9 解像感の高い絵を作りたい」をご参照ください。
また、これはノイズではありませんが、シャープネス時に発生する輪郭周辺の色づきを緩和するには、黒ぶち色づき抑制を使用します。 4.8.3.1 ノイズレベル
ですから、ノイズが目立つ場合には、このパラメータを大きくすることで改善される場合があります。 ただし、大きくすればするほど解像感が低下します。とくにディティールの解像感が低下します。 ディティールの解像感を高めたい場合には、ノイズレベルは低めに設定してください。
※写真のざらつき感が強い場合には、大きく設定し、ノイズレベルでざらつき感が小さくなるまで追い込むと良いでしょう。
カメラの機種によって効果的に働く場合とそうでない場合があります。気になる幾何学的なパターンのノイズが生じている場合に効果があるかどうか試してみてください。 この機能を使用する場合はパラメータを調整して最も適切な値に調整してください。値を大きくしすぎると画質が劣化します。
通常は、「80」程度にしておきます。 ノイズの多い映像では低めに設定します。現像精度と画質の関係をご参照ください。 プレビューを高速化する目的で一時的に変更する使用法もあります。詳しくは、プレビュー更新の高速化をご参照ください。
メニューから[表示(V)]-[ハイライントコントローラ]を選択してください。ハンライトコントローラダイアログが表示されます。 この機能はR,G,Bの色コンポーネントのどれかが飽和するハイライト領域での色クリップの方針を制御するもので、R,G,B の各色のコンポーネントのうち、少なくとも1つが飽和している部分に影響を与える2つのコントロール「色彩重視/輝度重視」、「彩度重視/色相重視」と、撮影時に飽和させてしまった部分をアンダーの露出補正を行った際に明度を復元する「明部補償」というコントロールがあります。 4.10.1 色彩重視/輝度重視
次の例は、花に強い光が当たってハイライト部分が存在するRAWデータを色彩重視/輝度重視を色彩を優先、輝度を優先、またはその中間に設定し現像した結果です。 下図[色彩優先]のように花の色彩をより強調したい場合には色彩を優先した設定を行い、逆に、下図[輝度優先]のように当たっている光の眩しさを表現したい場合には輝度を優先した設定を行うといったハイライト部分の制御が可能となります。
もう一例紹介します。 ハイライトコントローラは明るい部分への色をコントロールできるため、夕焼けシーンなどで威力を発揮します。 次の例は、夕焼け空を、色彩を優先、輝度を優先、その中間に設定し現像したものです。
次の例ように、オレンジ色の花はR値(赤色)が飽和することでハイライト部分の色相が黄色っぽくなってしまうことがあります。 この場合、彩度重視/色相重視にて色相を強調した設定を行うことにより色相の回転してしまうのを防ぐことが可能となります。 また、このような色相を優先した処理は、人肌のハイライト部分で肌色が黄色く色づいてしまう場合にも効果的です。
逆に、彩度を優先させる設定が有利な場合もあります。 下のハチとコスモスの例では、色相よりも彩度を優先することで、ピンク色と黄色を上手に再現しています。
RAW データは、画像として白とびしている部分でも情報自体は記録されている場合があります。 この場合、現像時にアンダーに露出補正することで、RAW に記録されている階調を復元することができます。 しかし、センサーが飽和してしまった部分に関してはアンダーに現像しても復元することはできません。明部補償は、このようなセンサーが飽和してしまった部分の明度情報をより感度の低いセンサーの情報を用いて復元する機能です。 次の例は木や地面に露出を合わせて撮影したRAWデータを露出補正せず現像したものです。真ん中は露出補正を-2EVに設定し現像したものです。空と雲の階調が復元され、レンズフレアも確認できます。さらに一番右では明度補償を使って、明部の復元を行いました。 この処理により、空と雲とがより詳細に復元されました。 さらに下図は、上の左の画像に右の画像の空と雲の部分を合成して作成した画像です。 復元された空と雲、そして木と地面の両方に露出が合ったRAWデータからの現像による階調性をフルに生かしたサンプルと言えます。 露出補正値と、明部補償を変えて2種類の現像結果を作成して、フォトレタッチソフトなどで合成することでこのようなダイナミックレンジの広い被写体をも写真として表現可能です。まさに、RAW データの威力と言えるでしょう。
メニューから、[表示(V)]-[ファインカラーコントローラ]を選択してください。ファインカラーコントローラダイアログが表示されます。 図のようなコントロール上に表示されている8点を動かすことで、色を操ります。 コントロールには、カラーサークルの中心から遠くなるほど彩度が高くなるように、全ての色相の色が表示されています。 ここで表示されている色は、人間の感覚に対してできるだけ均等に色を配置した均等色空間の断面図を示しています。
この内部に8個の操作点があります。このコントロールでは、この8点を動かすことで、色を調整します。 動かしたい色の近くにある操作点をマウスでドラッグして彩度や色相を動かしたり、スライダーで色相、彩度、そして明度を動かすことができます。 カラーサークルの中心から遠ざかる方向に動かすと、彩度が高くなり、カラーサークルの中心に近づくように動かすと彩度が低くなります。 カラーサークルの円周上に動かすと色相を変えることができます。 選択されている点は、上部にあるスライダーを使って微調整できます。スライダーでの調整の場合には、色相、彩度だけでなく明度も変えることができます。 この機能を使って自分の好みの発色に調整することができます。特にセオリーはありません。 このコントロールを使いまわして慣れてください。 ただし、このコントロールは、ホワイトバランスや露出、カラーモードを先に決めてから使うと良いでしょう。 人物の肌色をピンクっぽく表現するようにホワイトバランスを調整した結果、空まで紫っぽくなってしまったら、空色の近くの点の色相を調整して青くするのも良いでしょう。 逆に、人物の肌色も空もほどほどにホワイトバランスを追い込んでおいてから、オレンジ近くの点を調整して肌色を好みに追い込み、さらに、空色も調整するのも良いでしょう。 色をわざと変色させた表現もあるかも知れません。赤いチューリップをピンクに見せたり、紫を青紫にしたり、アイデア次第の自由な色の変形をお楽しみください。 ただ、あまりに自由すぎて戸惑うかも知れません。そんなときは、カラーモードを選択して好みに近い色再現にしてから気になるところを微調整すると良いでしょう。 この機能の重要な目的として、高彩度部分の白とびの緩和があります。 特に記憶色やフィルム調Vなどの高彩度での表現を狙った場合には、彩度が高い部分で白とびが発生します。 この場合、白とびが発生した色の彩度や明度を下げることで、白とびの緩和が可能です。「10.6 白とびの緩和」で詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。 スライダーでの調整
彩度:カラーサークルの中心から基準点までの距離を100%とした場合の割合を設定します。 -20%にすると、操作点は20%中心に移動し、彩度を低くします。 20%にすると、操作点は20%外側に移動し、彩度を高くします。 明度:基準点の明度を100%とした場合の割合を設定します。 -20%にすると、明度を20%低く、20%にすると、明度を20%高くします。 初期化ボタン:すべての点を初期状態に戻します。 有効チェックボタン:チェックするとファインカラーコントロールが有効になります。
メニューから、[表示(V)]-[レンズ収差補正]を選択してください。レンズ収差補正ダイアログが表示されます。 写真レンズは収差が存在し、デジタルカメラの解像度が向上した今日では、その収差が絵に大きな悪影響を及ぼす場合もあります。レンズ収差には、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差、軸上色収差、倍率色収差や、周辺に行くほど光量が低下する周辺光量低下があります。 これらの収差に対し、 シェーディング(周辺光量)補正、ディストーション補正、倍率色収差補正、の3つの補正があります。 4.12.1 シェーディング(周辺光量)補正
4.12.1.1 画角(度)
レンズは、周辺にいくほど光量が低下する性質を持っています。これは、画角の大きい広角レンズほど大きく、画角の小さい望遠レンズほど小さくなります。 35mmフィルム換算(フルサイズデジタル一眼)で、50mm の標準レンズの画角は約46度、135mm 望遠レンズでは約18度、35mm 広角レンズでは約63度となります。画角を入力することで、レンズ設計理論上の周辺光量低下を計算して補正が行われます。 ただし、かならずしも実際の撮影時の周辺光量低下とは一致しない場合があります[周辺光量低下の詳細について] ので、先の数値を参考にスライダーを動かして中心と周辺の明るさがバランスする点を見つけてください。
0%にするとまったく補正しなくなり、100%にすると画角から算出された理論値が使用されます。パラメータは120%まで指定可能です。 周辺光量の低下も、一種のレンズの味ですから、完全に補正せず周辺光量の低下を若干残しておきたい場合や、周辺に明るいものが写っていて、補正してしまうと飛んでしまう場合などに、補正の適用量を加減する事が出来て便利です。 また、マイナスの値を設定すると、逆に周辺光量低下を強めることができます。わざと周辺部分を暗くして中心部分を目立たせたい場合や、背景を整理したい場合に使用します。
例えば、魚眼レンズは、周辺にいくほど被写体を小さく歪めることで周辺の光量の低下を防いでいます。 また、レンズによっては、斜めから見るとレンズの口径が見かけ上減少する場合があり(ビグネッティング)、実際の画角の理論特性よりも周辺でより多くの光量低下を引き起こす場合があります。 絞り値によっても周辺光量の落ち込みが変化します。開放では大きく落ち込み、絞ると落ち込みが少なくなるという現象です。さらに、デジタルカメラではイメージセンサーへの斜入射によっても周辺光量低下が発生します。 このため、画角はあくまでも参考値です。バランス良く補正される点を探してください。この場合、画角パラメータを小さくすると補正量も小さくなり中心と周辺の補正がリニアになり、大きくすると補正量が大きくなり周辺に行くほどさらに補正量が大きくなると覚えておくと便利です。 補正結果を見て、周辺以外はだいたい良く補正されているのに、画像の隅の方だけ暗くなるような場合には、画角パラメータを大きくして、周辺での補正がより強くなるように調整します。この逆の場合には、小さくします。
4.12.2.1 歪曲率
4.12.2.2 中央・周辺重視
画像の端にあるまっすぐな線は適切に補正されているのに、画像中心付近は補正が強すぎる場合には、周辺を重視する側にスライダーを調整します。逆に、画像中心付近の補正が弱すぎる場合には、中央を重視する側にスライダーを調整します。次の例は、レンズの歪曲収差の影響を受けて、柱が曲がっている例です(左図)。この画像に補正を行い、歪んだ柱をまっすぐにした例が右の図になります。
このパラメータ調整と、歪曲率の調整を交互に繰り返すことで、ほとんどの写真レンズの歪みを目立たないところまで追い込むことができます。このパラメータを適切に追い込めば、いわゆる陣笠タイプと言われる複雑な歪曲収差特性を持つレンズであっても歪曲収差の補正もしくは緩和が可能です。 ディストーション補正機能は、レンズの歪曲収差を補正する目的で開発されましたが、遠近感を誇張したり、逆に歪曲を強めることによって、広角レンズ周辺の放射状に像が流れる現象を緩和するなど様々な使い方が可能です。行われる補正は、フォトレタッチソフトなどにある単なる変形機能とは異なり、実際の写真レンズの設計を参考に、レンズで発生する収差特性をシミュレートしています。 次の例は、逆に歪曲をより強めるように変形した例です。補正前の画像(左図)は、歪曲収差によりシャボン玉や人の顔が歪んでいますが、より歪曲を強くゆがめる方向に補正をかける事で、その歪みを見た目として自然な形へ変形させました(右図)
歪曲を自由にコントロールできるレンズを手に入れた気分になって、いろいろなパラメータの組み合わせをお楽しみください。きっと、新しい表現が見つかることと思います。
倍率色収差は、レンズに入射した赤い光が結像する倍率と、緑の光が結像する倍率、青い光が結像する倍率がそれぞれ異なるために発生する現象です。 Rの結像倍率と、Bの結像倍率を微小に変化させることで、倍率色収差補正を行います。まず、周辺部分のエッジの色づきが気になる部分を400%以上に拡大表示します [400%以上に拡大する理由と、補正に適するエッジの選び方について]。その後、[NR]タブの偽色抑制を小さくします。(例えば、 0 〜 80 程度) 次に、「有効」と書かれたチェックボックスをチェックし、R適用率と、B適用率の調整に入ります。 補正作業を行う際は、下の補正前や補正後の図のように周辺部を拡大表示して結果を確認しながらパラメータを調整してください。 4.12.3.1 R適用率
2つのパラメータが両方とも最適になったときに、色づきが最も少なくなります。 まず、エッジの状態を見て、「赤<-->シアン」がエッジの両側の色づきで少なくなるようにR適用率を調整し、次に残留した「青<-->イエロー」の色づきをB適用率で調整します。何度かR,B適用率を繰り返し調整することで、最適なポイントが見つかります。 調整のポイントは、色づきを少なくするという観点ではなく、エッジの色づきを均一にさせるという観点で調整を行ってください。その後、[NR]タブの偽色抑制スライダーを上げていくと、残留した色づきが消えていきます。気にならない程度まで上げたら、補正は完了です。 この際、偽色抑制を最大まで上げても消えない色づきが残る場合には、倍率色収差が大きすぎて補正範囲を超えているか、あるいは、倍率色収差以外の収差によって発生している色づきの可能性があります。背景が飛んでいるような明るさの場合には、コマ収差による色づきの可能性があります。 倍率色収差以外のレンズ収差よる色づきは、今のところ補正できません。 [400%以上に拡大する理由と、補正に適するエッジの選び方について] も一緒にお読みになってください。
プレビューを400%以上の倍率にすると、簡易的な現像が行われなくなり、プレビュー更新のちらつきがなくなって、見やすくなります。倍率色収差補正では、エッジの色づきを観察しながらパラメータを追い込むため、プレビュー倍率を400%以上にしてください。パラメータ変更に対するプレビューへの反映が遅く使いづらい場合には、さらにプレビュー倍率を上げるか、ウインドウを小さくしてプレビュー更新される部分のサイズを小さくすると快適に操作できます。 また、補正の際に拡大表示する絵のエッジ部分は、もちろん気になるところを選択するのが望ましいのですが、その中でも以下に挙げるような点に留意して選択してください。
4.13.1 回転
回転と同時に、元の画像比率の長方形に自動的にトリミングが行われ、元の画像サイズへ自動的に拡大されます。これは、回転しても現像後の画素数を一定に保つだけでなく、回転によって解像度が失われるのを防ぐことができます。 この性質により、回転によって失われる解像度の低下が抑えられるため、気軽にお使いになることができます。微妙に斜めに撮影してしまった場合の修正に威力を発揮します。 本ソフトウエアでは、±45度という大きな回転までを許していますが、大きく回転させると、失われる部分が大きくなります。 この場合には、トリミングの「拡張」機能を利用して、回転によって失われるすべての画素を表示して必要な部分を切り取ることができます。>トリミングの拡張へ
この機能により、パースペクティブをコントロールしたり、建築物の撮影などで上が狭まって写ってしまった写真を補正できます。 上下スライダーでは、画像の上と下の倍率を変化させることができます。数値を小さくなる方向(左)へ動かすと画像の上の倍率が高くなり、逆に大きくなる方向(右)へ動かすと画像の下の倍率が高くなります。左右のスライダーでは、画像の左と右の倍率を変化させることができます。左へ動かすと画像の左の倍率が高くなり、右へ動かすと右の倍率が高くなります。 変形後の画像は、台形もしくは歪んだ四角形となりますが、この中から元の原画比率の長方形で自動的にトリミングされ、元の画像サイズへ自動的に拡大されます。このため、この機能を使用しても現像後の画素数は変化せず、また変形による解像度の低下を抑えることができます。 トリミングによって失われる部分が欲しい場合には、トリミングの「拡張」機能を利用して、デジタルシフトによって失われるすべての画素を表示して必要な部分を切り取ることができます。>トリミングの拡張へ デジタルシフトは、建築物の撮影だけではなく、幅広い写真で応用が可能です。次の例のように、人物撮影で顔を小さく、足を長く見せたりすることもできます。デジタルシフトを+6(下:fall)することで、距離差により短く移ってしまった画像(補正前)を、足を長く補正した例(補正後)になります。
この処理によって行われる変形は、単なる矩形→台形変換ではなく、3次元平面→2次元平面投射変換です。これは、実際の3次元世界をカメラで写し撮る場合と同じ変換が行われるため、変換された映像はシフトレンズを使用した場合と同様の効果を持ちます。 手持ちのレンズが全てシフト可能なレンズに変わったという気分で、いろいろなパラメータの組み合わせをお楽しみください。きっと、新しい表現が見つかることと思います。 画角
また、[CTRL]+[T]キー、あるいは、ツールバーのトリミング領域設定ボタンでも操作できます。 【トリミング領域設定】 画像の中から任意の範囲を選択して現像する機能です。 トリミング領域を設定すると、サムネイルモード時、サムネイルにトリミングマークが表示されます。 [トリミング領域の設定方法]
画像の縦横比 縦横比が固定 画像のデフォルトサイズの縦横比を維持 縦横比指定 任意の縦横比を指定 定型サイズ 定型のサイズから選択して指定 * 縦横比が固定の場合でも、縦長、横長の指定は任意に変更できます。 * 「画像の縦横比」を選択すると、トリミングした画像とトリミングしない画像が混在した場合でも縦横比は一定となります。(同一カメラで同一設定にて撮影された画像の場合) * ここで設定された縦横比は他の画像をトリミングする際も共通に反映されます。
プレビュー表示上に表示されたトリミング領域のハンドルをドラッグして変更する。
(2) 中心のハンドルで領域を移動します。 (3) 中心の右横の丸いハンドルをクリックするとトリミング領域が90度回転します。 * 「自由サイズ」以外の場合、縦横比が常に一定となるようにトリミングサイズが自動調整されます
【トリミング領域設定ダイアログの操作方法】
(C) 領域座標(x,y) (D) −(x,y)
(3) 設定:パラメータをプレビューに反映させます。 (4) 解除:デフォルト状態に戻します。 (5) Tool:トリミング・ツール・モードに入ります。 (6) 拡張:RAWに記録されている全ての領域を処理対象として指定できるように拡張します。(拡張領域とはRAWデータに格納されている画像情報の全ての領域を指し、通常はこの中の一部の領域が実効領域として利用されています。機種によっては黒領域や無効な画像の領域を含みます。)
トリミングの拡張について 拡張ボタンは、RAW ファイルに記録されていて、通常は切り取られてしまう無効画素の部分や、ディストーション補正、回転、デジタルシフトによって切り取られた全ての画素を扱えるようにする機能です。このボタンを押下状態にすると、これらの全ての画素を表示し、トリミング領域を選択できるようになります。 RAW ファイルに無効画素が含まれている場合には、それも含めて表示しますので、カメラによっては画像周辺にノイズのような画素や、黒い部分も表示されることがあります。 |
Copyright©2004-2005,Ichikawa Soft Laboratory. all rights reserved. |