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10.1 プレビュー更新の高速化
しかし、本現像結果で確認したい現像パラメータを調整する場合には、本現像プレビュー表示が行われるまで待たなければなりません。 ここでは、本現像プレビュー表示が完了するまでの時間を短縮するテクニックについて述べます。 (1) ウィンドウを小さくする。
本ソフトウェアでは、プレビュー表示エリア内のみを部分的に現像してプレビュー更新を行うように設計されているため、ウインドウを小さくし、注目している部分のみが表示されるようにすると、本現像プレビュー表示完了までの時間を短縮することができます。
このため、偽色抑制を最後に調整することにして、他のパラメータの調整中は、偽色抑制を0にすることで、本現像プレビュー表示完了までの時間を短縮することができます。
そこで、他のパラメータ調整中は、偽色抑制同様に高速側に設定することで、本現像プレビュー表示完了までの時間を短縮することができます。
例えば、+1EV の露出補正を行うと、イメージセンサーに入る光量は2倍になります。 一方、現像時の露出補正は、RAW ファイルに記録されている光量を2倍にして処理します。 効果としては同様ですが、現像時の露出補正は、ノイズ成分までも2倍になるため絵が荒れやすくなります。 逆に現像時の露出補正にはメリットもあります。もし、カメラで露出補正をして、それが多すぎてハイライトが飛びすぎてしまった場合を考えてください。 イメージセンサーの限界を超えて飛んでしまった部分は、RAW といえどもその部分の情報はなく、現像時に減感現像しても救うことはできません。 カメラによっては1/2EV程度の減感現像が可能で、飛んでしまった部分を救うことができる場合があります。詳しくは(---> 12.1 減感現像の可能性)をご覧いただくとして、普通は不可能と理解してください。 この場合などは、現像時増感が有利になるのです。 撮影の忙しい時に露出を決定するのではなく、後でゆっくり現像時にやればいいのですから。 よく、「RAW はアンダーに撮れ」というのはそのためです。詳しくは、(---> 11.2 RAWはアンダーに撮れって本当?)をご参照ください。 逆光や難しい撮影条件で露出補正量を決定しかねたら、あるいは決定するのに時間がかかってシャッターチャンスを逃しそうなら、飛ばない程度のアンダー目に露出補正をして撮影してしまいましょう。参考として(---> 11.1 逆光無補正撮影) もご覧ください。 さらに応用として、カメラで ISO 感度を上げて撮影しないといけないような暗い被写体を、わざとアンダーにとってシャッター速度や、絞り値を稼ぐという大胆な撮影も考えられます。 (---> 10.3 カメラでの ISO 感度調整と、現像時の露出補正の違いと応用) をご覧ください。
例えば、ISO 感度を倍にすると、イメージセンサーからの情報をサンプリング前に2倍にしてサンプリングします。 あるいは、サンプリング後に2倍にします。 このため、撮影時の露出補正と異なり、現像時増感とほぼ同一の結果となります。 そう、ISO 400 で撮影するのと、ISO 200 で1段アンダーに撮影するのはほぼ同一なのです。 イメージセンサーからの情報がカメラで2倍にされて記録されるか、現像時に2倍になるかの違いしかありません。 ですから、この場合には、現像時増感のメリットが大きくなります。 ISO 400 にして撮影した場合、もし飛んでしまったら、それは修正不可能です。しかし、ISO 200 で1段アンダーにして撮影していれば救える可能性は高くなります。 カメラで ISO 感度を上げて撮影しないといけないような暗い被写体を、わざとアンダーにとってシャッター速度や、絞り値を稼ぐという大胆な撮影が可能になるのです。(---> 11.3 露出補正ダイヤルのISO感度ダイヤル化) をご覧ください。
これを現像精度と呼んでいます。 現像精度を上げれば、分解が精緻となり、その分現像時間が長くなります。 現像精度を下げれば、分解の精緻さは失われますが、現像時間は短くなります。 ですから、良い品質を得る場合には、現像精度をある程度大きな値(80程度)にしておくことをお勧めします。 現像精度は高ければ高い程、良い絵を生成すると考えて、ほぼ間違いありませんが、ノイズの多い映像では、逆にノイズを目立たせてしまう結果となる場合があります。 このような場合には、現像精度を低く設定してください。
撮影後、写真をPCに取り込んだ直後に、自動露出とオートホワイトバランスを適用するには、最初のコマの露出とホワイトバランスを「オート」に設定し、その後、そのコマの現像パラメータをすべてのコマに貼り付けると便利です。 以下、手順を説明します。 1.撮影した RAW ファイルを取り込んだフォルダを開く。
WBコンボボックスから、「オート」を選ぶ。
この現象を本マニュアルでは「白とび」と呼ぶことにします。 ここでは、この白とびを緩和する方法について解説します。 ○ 白とびする理由
被写体がつるっとしていて、当たった光がそのまま反射して白くなる場合があります。これは、白とびではありません。 白とびは、人間の目には赤く見えていたものが、その明るい部分で白く表現されてしまうような状態を言います。 これは、撮影時、もしくは現像時に表現できる明るさを超えてしまうことにより発生します。 写真では、(写真に限らず、印刷でもプリンタでもモニタでもテレビでも)表現可能な明るさに限界があります。 そして、この限界は、色が濃くなるほど小さくなります。 ここで、 R, G, B を使って説明します。パソコンのモニタは、R, G, B の細かい点を発光させて色を作っています。 いま、赤い点が最も暗い状態を R=0 という数値で、最も明るい状態を R=255 という数値で表すことにします。G, B についても同様です。 R=0 のとき、モニターの赤い点は最も暗い光り方をし、R=255 のときに最も明るい光り方をします。この光り方のバランスで色と明るさを表現しています。 人間が感じる明るさは、R の光り方と、G の光り方と、B の光り方の和を感じます(*1)。 例えば白い色は、R,G,B が同じ光り方をします。つまり、R=100, G=100, B=100 のような状態のとき、白く見えます。 そうすると、白い色(無彩色)は、R=0,G=0,B=0 から、R=255,G=255,B=255 までの表現範囲を持ちます。 明るさにすると、0 〜 255+255+255=765 までを表現できます。 今度は、薄い赤(ピンク)を考えてみましょう。薄い赤は、G, B に比べて R が大きい状態です。例えば、 R=200, G=100, B=100 となります。 このとき、G, B は、R の半分です。 この比率を維持していると、同じ色に見えます。 例えば、暗くて薄い赤は、 R=100, G=50, B=50 です。 明るくなると、R=200, G=100, B=100 となります。 さらに明るくすると、最も明るい薄い赤 R=254, G=127, B=127 となります(*2)。 ここでさらに明るくすると、どうなるでしょうか? 数値上では、R=300, G=150, B=150 という状態が作れます。 しかし、R=300 は実際には表現できないので、R の実際の明るさは R=255 となってしまいます。 つまり、R=255, G=150, B=150 と表現されます。 さらに明るくするとどうでしょうか? R=510, G=255, B=255 が、R=255, G=255, B=255 となってしまいます。 これは、つまり真っ白です。 白とびは大雑把に言って、このように発生するのです。 この薄い赤の場合、色が変わらない限界は R=254, G=127, B=127 となります。 そして、このとき感じる明るさは、254+127+127=508 です。 白は、明るさ 765 まで表現できたのに、薄い赤は、508 の明るさまでしか表現できないことになります。 もっと濃い赤だったらどうなるでしょう。 例えば、R=200, G=50, B=50 の濃い赤で考えてみましょう。 表現できる最も明るい濃い赤は、R=252, G=63, B=63 です。 これは、明るさ 252+63+63=378 です。 つまり、色が濃くなればなるほど、明るい表現ができなくなるのです。 色の薄い被写体に合わせて露出を調整すると、色の濃い被写体が白とびしてしまう。 その理由はここにあります。
しかし、多くの場合、これでは色の薄い被写体が暗くなりすぎてしまいます。
しかし、高彩度の白とびに合わせて彩度を下げると、多くの場合、他の部分の彩度が下がりすぎて色の薄い写真になってしまいます。
例えば、先の例で、明るさ R=300, G=150, B=150 を考えてみます。 ソフトウエアの内部では、実際に再現できる範囲よりもはるかに広い範囲でデータを扱っています。このため、内部では R=300, G=150, B=150 という本当の色のデータを保持しています。 しかし、それを出力する際には、255, 255, 255 の範囲内にクリップしなければなりません。 単純に超えた R だけを 255 にクリップすると、色相も彩度も輝度(明るさ)も狂ってしまいます。 本来の明るさは、300+150+150=600 です。 ハイライトコントローラの輝度重視を最大とすると、色よりも 600 という明るさを重視して色のクリップを行います。 例えば、R=255, G=173, B=172 となり(*3)、明るさ 600 を維持できます。 しかし、これでは、さらに白とびを激しくしてしまいます。 ハイライトコントローラの輝度重視を最小(色彩重視)とすると、今度は色を重視するようになります。 ここでは、色彩を重視した場合の数値での説明は割愛しますが、デフォルトでは、色彩重視:輝度重視が64となっていますので、これを 0 にすることで緩和が可能だと覚えておいてください。 そして、この場合、さらに色相を重視するか彩度を重視するかを決めることができます。詳しくは、「4.10 ハイライトコントローラ」をご覧ください。
むしろ、ハイライト部分を残しつつ、その表現を決める場合に有効な機能です。 ファインカラーコントローラでは、より効果的な方法を提供しています。 その方法は、白とびした色だけの彩度を下げる。白とびした色だけの明度を下げる。 ということです。白とびした色を狙って調整を施すことで、低彩度の白い部分には殆ど影響を与えることなく、白とびを緩和できるのです。使い方については、「4.11 ファインカラーコントローラ」をご覧ください。 *2 ... 実際の RGB データ(例えば sRGB データ)はγ特性といわれる非線形特性がかけられているので、このように単純ではありませんが、説明の便宜上 RGB 値をリニア値として R,G,B の値と実際にモニタから発光される光量が比例するという前提で説明しています。 *3 ... 実際のソフトの動きはもう少し複雑です *1 で説明したように実際の明るさは R+G+B ではないことや、 *2 のγの影響があるためです。ここでは動作を理解していただくために単純化しています。
「6.1 ハイライト、シャドー、色域外警告の表示」を使うことで、再現できる色の範囲を超えて彩度が高くなっている部分を警告することができます。 本ソフトウエアでは、sRGB と adobeRGB という2つの色空間を扱うことができます。 この空間は、実在する色を全て表すことができるわけではありません。 一方、RAW での撮影の場合には、カメラはこれらの色空間で扱える色よりもはるかに広い領域の色を正確に捉えています。 このため、彩度の高い花などでは色空間が扱うことのできる色の範囲(再現色域)を超える場合があります。 本ソフトウエアでは、カメラが捕らえることのできる色域を完全に扱うことができ、現像処理の最終段階で範囲を超えた色をクリップしています。 色域外警告は、このクリップされた色の部分を警告する機能です。 色域外の色は、クリップされて sRGB や adobeRGB の色域内に押し込められるため、ディティールがつぶれてベタッとした感じになりやすくなります。 白とびも起こしていないのに、彩度の高い部分のディティールが失われていると感じたら、色域外に色が出ていないかチェックする必要があります。 色域外の色は、白とびとは異なり、露出補正で暗くしても警告がなくなる訳ではありません。 R,G,B 値で言えば、R,G,B のどれか1つ、または2つが負の値を取ってしまうほど彩度が高い部分です。 例えば、R=255, G=0, B=0 は、この RGB 空間で再現できる最も彩度の高い赤ですが、さらに彩度の高い赤をカメラは捕らえており、現像されると、R=255, G=-20, B=-20 のような値を取る場合があります。もちろんこんな色は出力できませんので、クリップされることになり、高彩度で構成されるディティールがつぶれてしまうのです。 例えば、実際の花が、 R=255, G=-20, B=-20 と、 R=255, G=-30, B=-30 の間で彩度の微妙なディティールを構成していても、現像結果は全く同じ色になるのです。 しかし、本ソフトウエアは内部ではこのような色域外の色も保持していますので、彩度を下げて現像することで、ディティールを蘇らせることができます。 警告表示を見ながら、警告が出なくなるまで、彩度を下げるか、ファインカラーコントローラを使ってその色の彩度を下げてみてください。 このような領域の色は、プリンタなどの印刷デバイスにとっても苦手です。特に赤と青の中間に存在する明るいマゼンタや紫系の色は、印刷デバイスにとって最も苦手とする色です。 また、パソコンのモニタは、明るくて彩度の高い色を表示できますが、プリンタや印刷デバイスは苦手です。 モニタは発光デバイスですが、印刷物は、光を吸収することによって色を表現します。 このため、彩度が高い色を表現しようとするとどうしても暗くなってしまうからです。 印刷結果の色がつぶれてベタッとしてしまう場合は、明度を下げるのが効果的な場合もあります。
そんな印象を受ける場合には、ここの内容を参考にパラメータを調整してみましょう。 1.露出補正
RAWを使わない場合、カメラに入る光を写真として表現するのは撮影時の露出がすべてでした。 しかし、RAWでは、撮影後の現像段階でこれを決定できます。 不要な部分を取り除いていくトリミング作業のように、明るさの方向に対して、あなたが表現したかった明るさの範囲をトリミングしてゆく、これが露出補正なのです。 露出補正をいろいろ変更してみて、あなたが表現したかった写真の部分が適度な明るさになるように調整してみてください。 あなたの写真は、明るさをとりもどし、力が出てきたと思います。
まずは、コントラストを上げてみましょう。 白い部分をもっと白く、そして黒い部分はもっと黒く、これはあなたが表現したい範囲を狭め、それをデバイスの表現範囲に拡張する作業です。この作業で写真に力が出てきます。 では、どこを境としてコントラストの強調を決めるのか、これがコントラスト中心です。 あなたの写真が明るいなら、コントラスト中心を上げて明るい部分を中心として、コントラストをつければいいでしょうし、暗いならコントラスト中心を下げて、暗い部分を中心にコントラストをつけましょう。 どうでしょうか? だいぶ症状が改善されてきましたね。 写真にフレアーが乗っていたり、埃っぽい印象を受けたなら、黒レベルをあげてみましょう。 写真が締まった感じがしませんか? 逆光や、遠景の撮影などで、眠い感じになったら、黒レベルをあげて黒を引き締めてください。
あとは、ピントがいまいち... ここからは、写真の中で注目している場所を拡大(100%以上の表示倍率で)して、輪郭のシャープさを調整しましょう。 まずは、シャープネスを最大にしてみましょう。 写真の輪郭が明瞭になり、カチッとした印象になったはずです。 でも、よく見ると、同時にノイズも多くなり、もともとはっきりした輪郭は強調されすぎて不自然になっているかもしれません。 この不自然さが消えるようにシャープネスを弱めていけば調整は完了です。 シャープネスの設定をさらに追い込むには、「10.9 解像感の高い絵を作りたい」を参考にしてください。
単純に言えば、[Sharp]コンボボックスで強い設定を選ぶか、[Sharp]タブ内にある輪郭強調を上げれば輪郭が鮮明になります。 しかし、同時にノイズ成分を強調してしまいます。 本ソフトウェアでは、シャープネスのコントロールの際にノイズを除去する処理を同時に行うことができ、これをノイズキャンセラと呼んでいます。 両者は相反する関係にあり、 1.シャープネス(輪郭強調、ディティール強調)をあげるとノイズが増えます。 2.ノイズキャンセラを強くすると解像感が失われます。 本ソフトウェアでは、これ以外に、RAW レベルで積極的にノイズを取り除く NR の調整機能([露出]タブの中のNRスライダー)があります。 また、解像感とは直接関係ありませんが、同時に調整する項目として、偽色抑制と、現像精度があります。 ここでは、これらのパラメータを最適化するための調整方法を解説します。 以下に示す手順で調整を行うことで最適なパラメータの組み合わせが比較的簡単に得られます。 0.調整前にホワイトバランスや露出補正、調子、色の調整は先に行っておきます。 1.まずシャープネスや、ノイズキャンセラをOFFにします。 2.NRスライダーをあげていき、絵のディティールの感じを見ながら追い込みます。
ここでディティールをつぶしてしまうと、あとのシャープネスでは復活することはできませんので、ディティールをつぶさない程度に調整する必要があります。 また、NRスライダーをあげると逆に低周波カラーノイズが目立ちやすくなりますので、偽色抑制も同時に調整してください。 現像精度を調整する場合は、NRスライダーの調整が完了してから調整します。
シャープネスを上げていき、輪郭周辺の色づきや黒ぶちが気になる場合には、黒ぶち色づき抑制を上げてください。 ホワイトバランス、露出補正、調子、色の調整が絵の色方向に関連するパラメータであり、現像精度、偽色抑制、NR、シャープネス、ノイズキャンセラは絵の解像度方向(周波数面)に作用する操作です。 このため、まずは基本的な色方向のパラメータを定め、次に画像が処理される順番に沿って調整していくのです。 解像度方向(周波数面)の処理は、次のようにな順番で処理されます。 RAW --> NR --> デモザイク(現像精度、偽色抑制) --> シャープネス(輪郭強調、ディティール強調、黒ぶち色づき抑制)、ノイズキャンセラ(ノイズレベル、キャンセラ強度) つまり、色方向のパラメータを決めて(0)、後段での処理をOFFにして(1)、処理の順番に沿って、NR、偽色抑制を調整し(2)、最後にシャープネスとノイズキャンセラを追い込む(3)ということになります。 |
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