考えず、とにかくシャッターを切る
その瞬間は二度とやってこないかもしれない
逆光での撮影は、被写体が暗く(アンダー)に写ってしまうために、プラス側の露出補正をするのが一般的です。
もちろん、最適な露出補正量を撮影時に決定できるなら、それに越したことはありません。
でも、そうでない場合もあります。逆光だけどシャッターチャンス!
RAWでの撮影なら、シャッターチャンスを優先してください。
RAWなら露出補正は後でもできますが、その瞬間はもう二度と来ないのですから。
センサーサイズが大きく、S/Nの高い、懐の深いカメラなら、逆光は気にしない「逆光無補正撮影」も可能です。
それよりもシャッターチャンスを優先して、撮影枚数を稼ぐ。そんな従来の撮影では考えられなかった撮影が可能になるのです。
デジタル一眼レフのセンサーサイズは大きく、懐の深いカメラが多いですから、ISO感度の設定を最低にして、逆光なんか気にしない撮影をしてみませんか?
そして、SILKYPIXで露出補正を楽しんでみてはいかがでしょう...
RAWでもやはりノイズはのる
しかし、RAWだからアンダー気味でも許される
これは本当の部分と嘘の部分があります。
RAWであっても、イメージセンサーのリニアリティが確保されるギリギリめいっぱいの露光を与えて撮影するのが理想であることに変わりはありません。アンダーに撮れば、それだけノイズが増加し、画像が荒れるからです。
ところが、そうはいかないケースがあります。
- 1.被写体に強い光線が当たっていたり、金属の被写体など、コントラストが高い場合
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この様な場合、適正露出であっても飛んでしまう部分が出てきます。
しかし、アンダーで撮影していれば、現像時に露出補正をすることでハイライト部分のディティールを飛ばさずに済みます。
- 2.正確な露出を決定できない場合
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撮影時に露出を決定するのが難しく、シャッターチャンスを逃す、もしくはその場の雰囲気を害する場合。
アンダーで撮っておけば、現像時に調整可能ですが、飛ばしてしまったらアウトです。
以上のような理由から、「RAWはアンダーで撮れ」という諺?が出てきているのでしょう。
その他の理由として、色再現の低下を緩和できるということもあります。
興味のある方は、ハイテクニック編(イメージセンサーのリニアリティとサチュレート)をご参照ください。
露出補正ダイヤルは、ISO感度ダイヤルに化ける
暗い被写体の場合、長いレンズで高速の被写体を追う場合、高感度撮影が必要になるケースがあります。
絞り開放なのにシャッター速度が足りない、手持ちの撮影では厳しい…。
ISO感度を上げるのは、きっとこんな状況なのではないでしょうか。
しかし、どのカメラもISO感度の変更は結構面倒な作業です。それに引き換え、露出設定はどのカメラでも簡単に操作できます。
そこで、ISO感度を上げずに露出ダイヤルをアンダー側に調整して、シャッター速度や絞りを稼いでしまう。
これがRAW撮影でのみ許されるテクニックです。
そう、RAW撮影では現像時増感が可能で、それはカメラでISO感度を高めたのとほぼ同等の結果、いや、シーンによってはそれよりも良い結果をもたらすからです。
そう、RAW記録に設定した時から、露出補正ダイヤルはISO感度ダイヤルに化けるのです。
ギリギリで飛ばない最大の露出が最もいい
適正露出を、そのシーンを最も美しく再現する露出と定義しましょう。
このカメラは、暗い領域で色がずれるがそれが好きとか、ハイライトの飛ぶ寸前での色が好きとか、そういう好みの問題を除外してしまうことにします。
そうすると、写真としてディティールが失われてはいけない部分のうち最も明るい部分を、イメージセンサーのリニアリティが確保させる最大値に感光させる露出といえます。
この露出では,イメージセンサーのダイナミックレンジを使い切るため、ノイズの少ない清潔な映像が得られます。
さらに興味のある方はイメージセンサーのリニアリティとサチュレートをご参照ください。
このような露出での撮影は、露出計の示す適正露出とは少し違ってきます。
露出計の露出は、被写体の平均反射率を仮定して露出を決定しています。しかし、RAWでの撮影は、現像段階での調整が可能ですから、ギリギリ飛ばない最大の露出が最もいい訳です。
しかしながら、その露出を決定するのは困難です。
一番良い方法は、実際に撮影して、カメラのハイライト警告プレビューモードを利用して確認し、飛ばしてはいけない領域が、飛んでいない最大の露出を与えられるまで追い込むことです。
それでも、ハイライト警告プレビューの結果はJPEGに記録される場合を表示していますから、カメラによってはさらに多くの露出を与えて良い場合もあります。
ここまでくると超ハイテクニックですので、イメージセンサーのリニアリティとサチュレートと、減感現像の可能性も合わせてお読みください。